インタビュー小津安二郎監督の名人芸 抑えても漏れ出るもの、さりげなく緻密に聞き手・藤生京子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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いまも映画ファンから愛される小津安二郎監督の作品世界。映画研究者・批評家の三浦哲哉さんは、その魅力と実力を、とりわけ演出の巧みさに見いだします。思わず漏れ出てしまう感情をさりげなくにじませる「名人芸」が、緻密(ちみつ)な設計のたまものだったことを、原節子主演の名作「麦秋」から解説します。リレーおぴにおん 「うまい!」 日本映画界の巨匠、小津安二郎(1903~63)。彼がそう呼ばれる理由が、このところ改めてわかってきました。日常の暮らしと人生の機微を描く、脚本の魅力やカメラワークもありますが、僕が特に注目するのは「演出のうまさ」です。 上っ面の感情表現や演技の巧みさではない。抑えに抑え、それでも思わず漏れ出るものをさりげなくにじませている。それが観客の胸を打つ芸術だと小津自身も語っています。 最高傑作といわれる「麦秋」(51年)を見てみましょう。原節子扮する紀子の結婚と大家族の離散を描いた作品です。喫茶店で紀子と幼なじみの謙吉がお茶を飲む場面。紀子が手袋を外し、コーヒーカップのスプーンを回す。南方戦線からいまだ戻らぬ紀子の兄の話になり、その兄の手紙を謙吉が持っていると語る。そこで紀子の手がふと止まるんです。 兄を慕っていた彼女の心の琴…この記事は有料記事です。残り531文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







