【社説】首長の産休取得 働き方めぐる固定観念を見直す契機に2026年6月3日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●京都府八幡市の川田翔子市長が産休を取る●首長は一時期不在となっても、働き方の固定観念を見直す契機としたい●気兼ねなく休める環境が整うことは、人材の多様化や政治参加の拡大につながるのではないか

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首長が産休を取れる社会は誰もが安心して働ける社会への一歩でもある。今回の取り組みを制度の空白を考え、働き方を見直す契機としたい。 京都府八幡市の川田翔子市長(35)が産休の取得を発表した。現職の女性首長では全国初とみられる。 選挙で選ばれる特別職の市長には、労働基準法の産休の規定が適用されない。市条例にも規定はなく、市職員の条例などを参考に約4カ月取る予定だ。その間は職務代理者の副市長が市長へ週1回以上、オンラインで主要案件を報告。給与は、市職員の産休と同じく減額しない方向で検討する。 市民からは「無責任だ」との批判もあったという。初めてのことで不安を感じるかもしれない。ただ、首長が一時期不在になっても、市職員が支え合い、市民から選挙で託された責任に応えられる組織運営や課題を見つめ直す時間ととらえてはどうか。 出産・育児だけでなく病気や介護、災害などやむにやまれず仕事を抑えざるを得ない出来事は突然、起こりうる。人手不足のなか、欠員が出ても、ほかにしわ寄せがいかない態勢づくりは簡単ではない。それでも誰もが気兼ねなく利用できる仕組みを考え、支え合いの精神で参画できる場をめざしたい。長期育休を阻む障壁は 首長や議員に若い女性が立候補するなど多様性が広がれば、行政や議会はより幅広い民意を受け止められるようになるはずだ。 今回の問題提起は、男性の長期育休を阻む障壁にも光を当てる。民間企業で育児休業を取った男性の割合は2024年度調査で過去最高の40.5%に及び、若い世代を中心に「取得は当然」との考えが広がりつつある。 一方、23年度調査では女性は92.5%が半年以上の育休を取得するのに対し、男性は86.1%が3カ月未満で「取るだけ育休」が課題だ。各種調査からは「長くは取りづらい」との本音も浮かぶ。 海外ではニュージーランドのアーダーン氏が首相在任中の18年に出産、6週間の産休を取った。諸条件は違うが、首相就任後に「女性がキャリアと家族のどちらを選ぶかという選択を迫られるべきではない」と訴えていたことをいま、改めて受け止めたい。 二者択一を迫る空気は、自分らしく生きられる社会とは相反するものだ。「責任ある立場だから、プライベートより仕事が優先」との価値観が、男女問わず長時間労働を前提とした働き方を強いていないか。従来の固定観念を崩し、発想を転換するときだ。「仕事でご負担かけます」八幡市長産休へ 給料は?支える職員らは?「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする