届きにくい声を探る「被害者学」 ネット中傷も研究 京産大准教授黒沢大陸印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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社会で必要性が高まっている被害者への支援。犯罪や事故、災害、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷、家庭内暴力(DV)、虐待など、さまざまな場面で求められている。京都産業大学法学部の新恵里准教授は、全国でも例が少ない「被害者学」を掲げて、研究や実践、授業やゼミでの指導に取り組んでいる。 5月18日、京都市の高台にあるキャンパスの教室で開かれた2、3回生が対象のゼミで、今年度最初のグループ発表があった。テーマは「被害者に関する最近のトピックを調べること」。学生たちは5班に分かれ、パソコンやスマホを使って発表資料をまとめていた。 発表では、犯罪被害者らの心情等伝達制度や、インターネットでの誹謗中傷を防止する条例などが取り上げられた。 心情等伝達制度は2023年末に始まった新しい仕組み。被害者や遺族らの心情を受刑中の加害者に伝え、反省や悔悟を深める指導をする。「なぜ制度ができて、どう使われていくか。当事者からの発信や課題について深掘りしてほしい。修復的司法も大切なキーワードです」と学生に語りかけた。修復的司法とは、対話を通して被害者の精神的な回復や加害者の更生をめざす取り組みだ。 学生が調べたネット誹謗中傷防止条例は京都府福知山市が2026年に制定した。発表で「悪質な言動から市民を全力で守る行政の覚悟と強い正義感」と評価しながら、「市が削除を促すのは、言論統制になりかねない面もあるので、手続きや過程を調べてみたい」と話していた。問題を見つけにいき、自ら課題掘り起こす 発表ではほかに、性暴力被害者らへのワンストップ支援センターやSNSによる被害、警察庁が導入を進める被害者手帳も取り上げられた。似たようなテーマもあるが、それぞれに多様な側面が見えてくる。新さんは「被害者や支援の問題は、ちょっと調べただけでもいろんな例や議論、考え方、課題がありました。掘り下げて視野を広げて学んでいきましょう」と締めくくった。 被害者や家族は声をあげにくい。被害者学は、こちらから問題を見つけにいかないと成り立たない学問と考えている。だから、学生が受け身にならず、自ら課題を掘り起こせるような指導を心がけている。 これまで調べてきた被害者の実情や支援政策の研究にとどまらず、被害者を支援するボランティアの養成や被害者の苦しみを刑務所の受刑者に向き合ってもらう活動も実践している。学生に説明する言葉も、経験に裏付けられた力がある。 ゼミでは、実際に見て聞いて考える学外実習も重視している。関西では近年、京都アニメーションの放火殺人事件や大阪での心療内科クリニック放火殺人事件で、多くの人が犠牲になった。実習では、犯罪被害者支援センターや警察、自治体、裁判所の関係者らにインタビューもする。遺族を招いて話を聞くこともあり、JR宝塚線(福知山線)脱線事故の追悼施設には毎年、訪れている。■身近な事件きっかけ、渡米し…この記事は有料記事です。残り882文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人黒沢大陸論説委員専門・関心分野災害、科学、環境、エネルギー、交通関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






