核兵器の廃絶は理想か 不可能と言われても、追い求める先にある希望2026年5月31日 8時00分論説委員・稲田清英印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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核兵器が、再び使われるかもしれない――。そんな問題意識をもとに記者サロン「残り85秒の世界 核の危機は止められるか」を収録、配信中です。 1945年に広島と長崎に米軍が投じた原爆は約21万人の命を奪い、その後も多くの人が後遺症や偏見などに苦しみました。他の兵器と次元の異なる「悪魔の兵器」とも呼ばれるゆえんです。 広島、長崎を訪れるたび、もう二度と被爆地も被爆者も出してはならない、と痛切に感じます。【申し込みはこちら】記者サロン「残り85秒の世界 核の危機は止められるか」 一方で世界の現実はどうでしょうか。冷戦期よりは減ったとはいえまだ約1万2千発もの核弾頭があり、大国が国際ルールを顧みずに他国を攻撃し、核兵器を使うという威嚇さえも行っています。核兵器がまた使われてしまう可能性が絵空事ではなくなりました。まさに「核の危機」の状況です。 今回、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)准教授の中村桂子さん、核廃絶を訴えてきた広島出身の高垣慶太さん、長く取材を続けてきた副島英樹・編集委員の3人と、記者サロンに出演。危機の現状や、軍拡に歯止めをかけて軍縮・廃絶へとつなげる道筋をどう見いだせるかを話し合いました。 軍備を維持・強化するための膨大なコストや、核実験による大きな被害、誤解などで意図せず核兵器が使われてしまうリスクなど、「核抑止」政策の問題点に触れながら、議論が進みました。高垣さんは「理想と言われたとしても、理想を追い求め続けていくこと」が状況を良くしていくための力になる、と思いを語りました。中村さんは、AI(人工知能)の進化も含めた安全保障をめぐる環境の変化が人々に不安をもたらしている状況を指摘しつつ、「この時代に必要なのは、具体的な力となる希望だと思っている」と話しました。「理想を求めない限り実現しない」 配信開始後、視聴した読者の方から多くの感想が寄せられました。「簡単に答えを出そうとせず、立ち止まること、考え続けることが大事だという話が印象に残った」(愛媛・女性)、「日本政府の能動的な動きがないことが最大の問題だと感じる」(神奈川・男性)といった感想が寄せられました。「家庭や学校では子どもたちに、暴力や脅しではなく話し合いで和解し、協力しあうことを教えているのに、今の世界の状況を大人は子どもにどう説明するのか」(群馬・女性)との指摘もありました。 4月下旬から5月にかけて、軍縮への行動を話し合う核不拡散条約(NPT)の会議が米ニューヨークで開かれました。4週間続いた議論では核兵器を持つ国が自らの正当性を訴える姿が目立ち、一致点を見いだすことができませんでした。厳しい状況は続きますが、「理想を求めない限り実現しない、という言葉は大きな希望だと思う」(大阪・男性)。私も改めてそう感じたところです。 視聴のお申し込みはこちら(https://t.asahi.com/wqih)から。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人稲田清英論説委員|国際社説担当専門・関心分野朝鮮半島、核問題、国際経済、少子高齢化、格差と分断関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする