【社説】給付付き税額控除 恒久財源こそ「あんこ」、詰める議論急げ2026年5月30日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●政府が給付付き税額控除のイメージを示した。働く中低所得者層を支援する狙いだ●減税と組み合わせず、給付に一本化するが、支援の目的は変わらない●最大の課題は財源の確保だ。それと逆行する消費税の減税は、行うべきでない

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モナカにたとえると、大まかな形は示されたが、どれほどの大きさでどのくらい「あんこ」を詰めるか、まだ全くわからない。本丸となる中身の議論こそ急ぐ必要がある。 政府が、給付付き税額控除の「イメージ」を社会保障国民会議に示した。2月の衆院選で自民党が公約に掲げ、高市早苗首相が制度設計を指示していた。「働いて得た収入のある中低所得者」に的を絞り、所得に応じてきめ細かく支援する。その必要性自体は社説も賛同してきた。 今回示されたのは「給付に一本化」する方針だ。名前にある税額控除、すなわち、いったん算出された税額から差し引く減税とは組み合わせない。減税相当分をすべて給付で手当てすれば支援の目的は変わらないためという。雇用主の事務負担などを踏まえて迅速な執行を重視したという点では、理解できる。 給付は、税と社会保険料、現金給付をあわせた純負担率が他の先進国より重い所得層に行う。ばらまき批判もあったコロナ禍での「全国民に10万円」といった一律給付とは異なる。ただし、金融所得や保有する資産を勘案できていないところに課題は残る。 そして最大の課題は、支援額の大きさがどの程度で、必要なお金をどこから持ってくるのかが定まっていないことだ。恒久財源の確保こそが「あんこ」であり、兆円単位で必要になる。逆行する議論、首相が率先 だが、国民会議に参加する各党間では支援に必要な財源について「議論ができる状況にない」(自民党の小野寺五典・税制調査会長)と後回しだ。社会保障を支え、格差を是正する税制の検討は置き去りにされ、むしろ財源の安定化に逆行する議論へ首相が率先して突き進む。 社会保障の財源に組み込まれている消費税で、首相は食料品の2年間ゼロを「悲願」とする。「給付付き税額控除を導入するまでのつなぎ」との位置づけだ。しかし税率ゼロだとレジの改修に時間がかかるとして、1%への引き下げにとどめつつ、減税できない1%分は補助金などの形で国民に還元することを模索しているようだ。 恩恵は消費額の大きい高所得層に手厚く、物価高のなか減税分だけ価格が下がるか、下がった税率を元に戻せるかは不透明だ。金融市場で財政への懸念が高まり、金利の上昇傾向を強める恐れもある。年5兆円規模の税収減となる減税は利点より弊害が大きく、行うべきでない。 「つなぎ」が不要となる給付の実現と、その財源確保に政治は向き合う責任がある。給付付き税額控除、手取り増と就労支援が核 財源や支援額は検討課題「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする