【社説】中東情勢に警戒強める企業 適正取引で供給網の寸断を防げ2026年5月28日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●中東情勢の緊迫が続き、日本企業の経営環境の不確実性が増している●優先して取り組むべきは、石油関連製品の供給網の混乱を抑え、寸断を防ぐことだ●政府が需要抑制策に踏み出し、企業は供給網に適切な価格転嫁を根付かせる必要がある

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緊迫が続く中東情勢の長期化リスクに多くの日本企業が警戒を強め、経営環境の不確実性が増している。それでも物価上昇に負けない賃上げを続け、経済の好循環をつくり出すことが大切だ。 優先して取り組むべきは、原油やシンナーなど石油関連製品の調達難や価格の高騰によるサプライチェーン(供給網)の混乱を抑え、寸断を防ぐことだ。 政府が節約を呼びかけ、需要抑制策に踏み出す局面だ。中小企業を含む供給網全体に適切な価格転嫁が根付くよう、大企業には適正取引の徹底を求める。 2026年3月期の企業決算は、東証株価指数(TOPIX)を構成する上場企業(金融を除く)の最終的なもうけを示す純利益の総額が、5年続けて過去最高を更新した。SMBC日興証券が集計した。AI(人工知能)需要を取り込む半導体企業などの好決算が、全体を押し上げた。日経平均株価が6万5000円の節目を超えるなど、株高も後押しする。 だが、原油を原材料に使う化学業界や、物価高の影響を受けやすい食品関連では、27年3月期の業績予想を未定とする上場企業が相次ぐ。石油化学製品の価格高騰や品薄によるコスト増を織り込み、減益を見込む企業も目立つ。迫る値上げの波、賃上げ原資の確保は 部品や素材メーカーなど産業の裾野が広い自動車業界では、米国の高関税政策に中東情勢の悪化が重なり、大手7社の26年3月期の純損益は4社が減益に。構造改革の途上にあるホンダと日産自動車は赤字だった。トヨタ自動車は資材価格の高騰や中東向け車両の販売減が見込まれるとして、27年3月期の純利益を前年比22%減と見込む。車の知能化や電動化に巨額の投資が求められるなか、稼ぐ力の低下は基幹産業の国際競争力を弱めかねない。 ナフサの供給不安は日増しに強まっている。石油関連製品の供給網では、川下の業者から、必要な材料の高騰や調達難に悲鳴が上がる。交渉力の弱い中小企業が生産を続けられなくなれば、大手製造業の減産につながり、企業収益を下押しする。幅広く値上げの波が迫るなか、賃上げが続かなければ消費は落ち込み、好循環の実現は遠のく。 政府が、供給の偏りや流通の目詰まりが原因で総量は足りている、と繰り返すだけでは不十分だ。供給網を守り、中小企業も賃上げ原資を確保できる環境をつくり出せるか。政府が需要抑制策にかじを切り、大企業が率先してコスト増に見合う適正取引を徹底できるかが、鍵を握る。上場企業の純利益総額が過去最高に 物価高に苦しむ家計と「2極化」「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする