【社説】中国が対日輸出規制拡大で威圧強める 政治は冷静な対応を2026年7月2日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●中国が日本向け輸出規制を拡大した。安全保障を理由にするが、根拠は薄く政治色が濃い●一方、日中貿易は全体として堅調で、現状は実害より威圧効果が先行している●抗議だけでは局面は動かない。双方に利益のある経済を糸口に対話を探るべきだ
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中国政府が日本向け輸出規制の拡大を打ち出した。高市早苗首相の「台湾有事」答弁をきっかけに日中関係が悪化して以来、中国は様々な圧力を重ねる。今回の規制もその一環だが、根拠とする主張には誇張があり、手法も政治色が濃い。一方で、日本側も抗議だけで事態が動くと考えるべきではない。 中国商務省の6月29日の発表で、新たに三菱電機のグループ企業など20社・団体に対する軍民両用品の輸出を禁止した。また、より厳格な審査を必要とする監視対象として20社を加えた。軍民両用品には焦点のレアアース(希土類)を含め幅広い品目が含まれる。 自由貿易の原則の下でも、安全保障上の考慮から例外的に貿易規制は認められる。中国はその考え方を利用し、日本が「新型軍国主義」への歩みを速め、「再軍事化」を加速させていると改めて主張して、規制を正当化する。しかし、その認識には明らかな誇張がある。 奇妙なのは、前回は防衛大学校、今回は防衛研究所が対象に含まれたことだ。これらの機関が中国と貿易することはないはずだ。安全保障上の措置であることを印象づける政治的な演出ではないか。 日中間の貿易は全体としては堅調だ。中国側統計によれば、今年1~5月の中国から日本への輸出額は前年同期比で7.1%増、日本からの輸入額は27.8%増を記録した。日中の経済が切り離されている状況ではない。 中国産レアアースの調達に困難を抱える日本企業は少なくないと伝えられる。日中関係の悪化で影響を受ける日本企業はほかにもあり、経済界に懸念が広がっているのも事実だ。とはいえ、現時点では実害より威圧効果が先行しているのが現状だろう。 だが日本側も静観しているわけにはいかない。日本政府が今回の措置の撤回を求めたのは当然だとしても、中国に関係修復への働きかけをした形跡はうかがえない。 6月に予定されていた日本国際貿易促進協会の訪中団は河野洋平会長の死去で延期になったが、その後の少人数での訪中では、中国外務省幹部が「経済界が関係改善に積極的な役割を果たすことを期待する」と述べたという。経済界を通じて高市政権に圧力をかけたい中国側の狙いが見え隠れする。 そうだとしても、経済という日中双方に利益のある分野で対話の糸口を見いだす道はあるのではないだろうか。 あとは政治が局面打開への意思を示すかどうかである。中国、経済の武器化加速 日本の「新軍国主義」批判、緩める気配なく「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません














