【社説】中ロ首脳会談 「覇権主義」批判は言行不一致だ2026年5月22日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●ロシアのプーチン大統領が訪中し、中国との結束を改めて示した●共同声明の内容はロシアがウクライナ侵略をやめない現状と矛盾している●両国は日本非難も強める。日本は反論だけでなく対中外交の立て直しも迫られる
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ロシアのプーチン大統領が訪中し、20日に習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。ロシアがウクライナへの侵攻を始めて4年余り。中国がロシアを支える構図は変わっていない。両首脳は米国を念頭に「覇権主義に反対する」とアピールしたが、説得力を欠く。 プーチン氏にとっては厳しい局面が続く。前線で膨大な死傷者を出し、ウクライナ軍の反攻も伝えられる。経済の減速や厳しい通信規制などでプーチン氏の支持率は侵攻後最低レベルだ。中国との強い結束を国内外に示す必要があったのだろう。 それに応えるかのように中国側は、閣僚や大企業関係者を引き連れたプーチン氏を国賓待遇で迎え、40件もの協力文書を交わした。 興味深いのは、ロシアの中国向けガスパイプライン事業「シベリアの力2」について今回、合意には至らなかった点だ。欧州との取引ができないロシアは中国市場を渇望するが、中国側は慎重な姿勢を崩さない。中ロ間の力関係を象徴している。 共同声明では「各国が国連憲章を守り、各国の主権と領土保全を尊重する」と訴えた。侵略戦争を始めたロシアにそれを言う資格はない。核軍縮を求めながら、ロシア軍は19日から大規模な核兵器演習を実施してウクライナを威嚇した。言行が明らかに食い違っている。 ウクライナについては「根本的な原因の除去が必要」というロシア側の主張が共同声明に盛り込まれた。ウクライナの体制転換を図る意味合いでロシアが使ってきた言葉であり、同意した中国の姿勢も問われる。 前週にはトランプ米大統領が訪中した。米ロとも中国との経済関係を重視する。 レアアース(希土類)のような戦略的資源、人工知能(AI)を含む先端技術、そして広大な市場。中国は経済力の優位性を背景に他国をひきつける。昨年以来、欧州の主要国の首脳も北京を相次いで訪れている。しかも、米国の覇権にかげりがみえる。この状況を最大限利用しているのが今の中国外交だ。 一方、中ロの共同声明には中国の意向を反映し、日本が「新型軍国主義」「再軍事化」を進め、地域の平和を損なうという非難が盛り込まれた。いわれなきことであり、日本政府としては断固として反論すべきところだ。 だが一方で、昨年11月の高市早苗首相の「台湾有事」答弁以降、日本が主要国でまともな対中外交ができないでいる唯一の存在だという現実を直視する必要もある。習氏とプーチン氏、直前訪中の米国非難で「結束」示す 日本も標的に「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
















