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渋川青翠・清水哲也監督 前橋商(群馬)のコーチ、部長として甲子園を経験し、現在は甲子園未経験校の渋川青翠(群馬)で指揮を執る清水哲也監督(45)は、高校野球連盟が議論を進める7イニング制導入に反対だった。しかし、検討会議が出した最終報告書を読み、考え方を変えたという。選手が海外で体験「違和感なかった」 ――7イニング制導入検討の話を知ったときは、どう思いましたか。 当初、絶対に反対という立場でした。八、九回に野球の醍醐味(だいごみ)があるし、部員を少しでも多く打席に立たせたいと思っていました。 ただ、7イニング制の検討会議の最終報告書を読んだり、海外の例を調べたり、うちの部員の話を聞いたりすると、7イニング制をやってみてもいいかなというのが今の考えです。 ――部員からどのような話を聞きましたか。 昨年7月から3カ月間、カナダに語学とスポーツで留学した当時2年生の部員がいました。カナダも7イニングが主流で、特に違和感はなかったようです。案外そんなものなのかな、と思いました。 ――最終報告書では熱中症や障害予防のほか、指導者の働き方改革につながる、としています。 試合時間が30分ほど短くなったら、熱中症のリスクは減ります。球数が減ることも、故障のリスク減少につながると思います。ただ、足がつる子ってそんなに多くない印象です。試合の緊張感が大きく関係していると思います。練習中だと、足がつる前に体の異変に気づくので、水を飲んでストレッチをしたり、無理して動かなかったり自分で調整できるものです。 指導者の働き方にも影響はあるでしょう。部活動は基本的に教員がやっているケースが多い。例えば練習試合なら週末に1日2試合が一般的。9イニング制は平均2時間ほどなので、キャッチボールや片付けなど試合の前後を合わせると、少なくとも3時間は拘束されます。2試合なら計6時間。週末は、ほぼ1日を取られます。 もし7イニングになった場合、朝に始めたら昼過ぎで全てが終わるかもしれない。終わった後に家族と過ごす時間が取れるかもしれない。生活スタイルや価値観が変わった現代で、野球の試合時間が長いことを考えるとよいという気もします。「7か9か本質ではない」 公立監督が7回制議論で大切にしたいもの ――9イニングと比べて選手の出場機会が減ります。 そこが大きなデメリットです。選手は3、4打席目になってやっと自力が出てくる。せっかく目が慣れてきたころに試合が終わってしまう。7イニングを始めるなら試合数が増えるリーグ戦とセットにしてほしいですね。 人数が多い強豪校のために、1校から複数チームが出場できる案もよい。高校年代のサッカーみたいに強さでグループ分けする仕組みもありかな、と。「変化」のために柔軟な視点を ――いろいろと変化を加えていい、という考えですか。 2018年にドミニカ共和国の指導者研修プログラムに参加して、いろんな視点を持つべきだなと実感しました。7イニング制は絶対無理だと突き放さず、メリットも考えて、どうやったら有効活用できるかという視点も大事かもしれません。 また、「変化」という点では、よくある応援団の動員は過剰かなと感じます。自分も指導者として甲子園に出て、すばらしさは肌で感じています。でも、高速バス代、応援グッズなど経費がかかりすぎる。高校のスポーツとして、どうなんでしょうか。応援はあくまで自己判断にして、もっと簡素でいいと思う。 地方大会も運営をスリム化できるはず。審判でいえば、球審以外は試合に出ていないチーム関係者が代わりにできないでしょうか。経験を積んだ人が判定することが重要なのはわかりますが、球場に来ている指導者でカバーすれば、審判不足も解消できます。 選手の熱中症対策が必要なら試合前のノックや、グラウンドを一周する開会式もなくしていい。高校野球はあくまで部活動。今回の議論を機に、何でも完璧にやろうとしなくてよいと感じます。高校野球の7回制議論とは 関連ニュースはこちらから7イニング制議論の経緯 日本高校野球連盟は、暑さ対策や肩・ひじなど選手の健康を守ること、少子化による部員数減少への対応などを目的に、公式戦での7イニング制導入について2024年から議論してきた。 25年12月には、「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が「2028年春以降、全公式戦で7イニング制を採用することが望ましい」などとする最終報告書をまとめた。暑さが厳しい夏の全国選手権については「可及的速やかに7イニング制を採用することが望まれる」とした。 最終報告書では、学業の妨げにならないように全国大会は長期休業中に行うことと、阪神甲子園球場で開催するのが望ましいことを前提とした。甲子園が100年以上にわたって高校野球の会場となり、「聖地」と呼ばれていることが重視された。 7イニング制の提案理由について、以下のことを挙げている。 ▼試合時間の短縮によって、少人数のチームの熱中症リスクを減らすことができる ▼投球数の減少で投手の障害予防につながる ▼日々の活動や練習試合の時間に変化が生まれ、高校野球に取り組みやすくなり、競技の普及効果も期待できる ▼大会運営に関わる教員らの休日の拘束時間を減らすことができる ▼全国大会は国内外で放送・配信されて注目されており、日本社会の全体の中の高校野球という点も重要視した上で、課題解決へ向けて自ら変化していくというメッセージを込めることができる 7イニング制については、日本高野連が5月30日と6月6日に、高校野球の指導者のほか、元プロ野球監督や医師らによる意見交換会を開く。日本高野連の検討会議の最終報告書はこちら(抜粋)