木炭で描いた白黒の大谷翔平、破れた星条旗 ロバート・ロンゴ展2026年5月21日 10時00分編集委員・大西若人印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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ポストモダン、バブル、美術ではニューペインティング(新表現主義)の1980年代に、木炭による写実表現で注目を集めた米国のロバート・ロンゴさん(1953年生まれ)が、日本では約30年ぶりの個展を開いている。歴史や社会を白黒の表現で射抜いている。 「アメリカン・サムライ(American Samurai)」と記述された横2メートルを超える大作。漆黒の闇の中でバットを手にする大谷翔平選手が浮かぶ。写真のような、というよりヌメヌメとした光沢感すらある。 木炭による絵画を中心にした新作・近作33点の今展の起点になった一枚だと、ロンゴさんは明かす。「米国で一番重要な娯楽の最高選手は今は日本人だという点に着目した。今回は過去と現在を重ねた歴史を多く扱っている」。単に、大谷人気に乗った作品というわけではないのだ。「イメージを記憶にとどめる、認識をつなぎとめるいかりのような役割を作品で果たしたい」 米国南部の歴史を象徴する綿花が咲き誇る様を画面いっぱいに描いた大作や弾丸跡のあるガラスを表現した作品があれば、凶弾に倒れる直前のケネディ大統領と妻、トランプ大統領を思わせるレリーフ状の作品、破れた星条旗の絵が並ぶ展示もある。 複数のイメージを組み合わせて一枚の絵を仕上げているし、白い部分は塗り残しや消しゴムによって紙の色を出している。「多くの層を重ね、意味を多重的にしている。細部には制作の際の時間の痕跡も見てもらえると思う」 木炭については「洞窟壁画の時代から人類が使っていて、木を焼くという点では葬送ともつながる」。少しピンぼけゆえに、余韻や叙情性も生まれている。 映画「ターミネーター」的なロボットの手を描いた一枚もある。「私の子供時代は技術は人を助けるものだったが、今や我々を抹殺しようとしている」と話し、AIについては「常に我々を学習している。つまり今はこの惨憺(さんたん)たる政治を学んでいる。困ったものだ」と嘆く。一方、「私の作品もAIのネタ元になっているんじゃないかな」と皮肉ることも忘れていなかった。 ▽6月17日まで、東京・麻布台ヒルズのPaceギャラリー。月曜休み。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする











