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門真なみはや・藤本祐貴監督 大阪府立門真なみはやは、甲子園の出場経験がない。毎秋の公式戦後、近隣の高校と私設のリーグ戦「リーガ・アグレシーバ」を戦い、選手の成長の場としている。リーガには7イニング制のルールがある。藤本祐貴監督(33)は日本高校野球連盟が議論を進める7イニング制の導入に理解は示しつつも「現行の制度案では反対せざるをえない」と話す。イニングを減らすだけなら反対 ――リーガ・アグレシーバで実際に7イニング制で試合をしていますが、9イニング制と違いはありますか? 先取点の価値がすごく大きいですね。先に2点くらい取ると、相手の焦り方が9イニング制とは違います。うちのような公立校でも、良い投手がいれば強豪の私立校に勝てる可能性は高まると思います。 八、九回のドラマがなくなるという意見も聞きますけど、7イニング制になれば、六、七回のドラマが起きます。昨秋のリーガでも、七回に3点取って逆転して、その裏にサヨナラ負けという試合もありました。7回か9回かは、ドラマとはまったく関係ないと思います。7イニング制に「変えてはいけない」 大阪桐蔭の監督が反対する理由 ――それでも、7イニング制に反対するのはなぜですか。 大阪の場合、公式戦はすべてトーナメント制で春、夏、秋の3大会です。負けたら終わりなので、僕らくらいの「普通の公立」だと年間で5試合できたらまずまずです。 5試合できたとして、イニングが9から7に減ったら、年間で10イニング減りますよね。つまり、およそ1試合分、子どもたちが成果を発揮する場が減ります。 僕が指導者として、勝つことと同じくらいの目標にしているのが、できるだけ全員を試合に出すということです。少しでもいいから出してあげたい。 それが7イニング制になると、かなりハードルが上がる。教育的な観点から見ると、今のトーナメント制のままイニングだけを減らすのであれば、反対の立場を取らざるをえません。 ――例えば、リーグ戦で選手の公式戦への出場機会が確保されるのであれば賛成でしょうか。 その辺がクリアになったら、個人的には(7イニング制に)おおいに賛成です。例えば、神奈川県などは、春と秋の県大会で予選リーグをやっていますよね。4チームによるリーグ戦で、上位チームがトーナメント制の県大会に進む形式で、どのチームも3試合ずつできる。もし夏もリーグ戦となれば、3大会で少なくとも9試合。7イニング制でも63イニングは戦えます。リーグ戦の方がチャレンジ精神を育める ――公式戦の経験は、何にも代えがたいと。 部活動として、子どもたちにどんなものを残してあげたいか。社会に出て活躍できるようなスキルを何で身につけますか、という一手段が野球です。試行錯誤を繰り返しながら、できなかったことができるようになるとか、そういう過程を野球部の子たちなら野球で身につけましょうっていうのが部活動の意義だと思います。 であれば、負けたら終わりのトーナメントではなく、負けても次があるリーグ戦の方がチャレンジ精神も育めるし、思い切ってできると思います。 ――実際にリーガではそういう利点を感じていますか? 昨年は秋季大会が終わった後に、大体20試合ほどリーガの試合をしましたが、普通の練習試合と比べて、子どもたちの「平日の取り組み方」が変わります。リーガは公式戦ではないですが、それでも意識としては練習試合とは違う。打率や防御率などの成績も記録しているので。 うちは木製バットで臨んでいるんですが、なんで金属製やったら打てたのに、木製やったら打てんのやろとか、投手なら前の試合で球数が多すぎたから、もっと変化球でカウント取れるようにならないととか、そういった平日の取り組みの質が上がるんですよね。 トーナメント制では、負けたら終わりなので、反省を次に生かすチャンスがない。 もちろん、近年の暑さは危険なレベルになっています。子どもたちの成長の機会と安全の両面を担保できるような対策について、日本高野連だけではなく、他競技や現場の意見も広く聞きながら最善の道を探っていただきたいなと思います。 ――時代や環境が変わっていく中、ここだけは高校野球として残していかなければならない、というものはありますか? 結構、野球界以外の方たちからしたら、違和感を覚える部分は多いんじゃないですかね。丸刈りはかなり減ってきたなと思いますが、開会式の入場行進も、野球は軍隊式というか。ほかの競技では地元のものを持って歩いたりしていますよね。オリンピックも自由な雰囲気がありますし。そういったところは、どんどん変えちゃった方がいいんじゃないかなと僕は思います。 部活動の一環なので、教育的な部分はもちろんなくさない。野球に限らず、そこはベースにあると思うんですけど、「ここは変えないで」っていうのは、そこくらいかなと思います。「人生は負けても次があるリーグ戦、野球だって」 指導者が集う理念高校野球の7回制議論とは 関連ニュースはこちらから7イニング制議論の経緯 日本高校野球連盟は、暑さ対策や肩・ひじなど選手の健康を守ること、少子化による部員数減少への対応などを目的に、公式戦での7イニング制導入について2024年から議論してきた。 25年12月には、「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が「2028年春以降、全公式戦で7イニング制を採用することが望ましい」などとする最終報告書をまとめた。暑さが厳しい夏の全国選手権については「可及的速やかに7イニング制を採用することが望まれる」とした。 最終報告書では、学業の妨げにならないように全国大会は長期休業中に行うことと、阪神甲子園球場で開催するのが望ましいことを前提とした。甲子園が100年以上にわたって高校野球の会場となり、「聖地」と呼ばれていることが重視された。 7イニング制の提案理由について、以下のことを挙げている。 ▼試合時間の短縮によって、少人数のチームの熱中症リスクを減らすことができる ▼投球数の減少で投手の障害予防につながる ▼日々の活動や練習試合の時間に変化が生まれ、高校野球に取り組みやすくなり、競技の普及効果も期待できる ▼大会運営に関わる教員らの休日の拘束時間を減らすことができる ▼全国大会は国内外で放送・配信されて注目されており、日本社会の全体の中の高校野球という点も重要視した上で、課題解決へ向けて自ら変化していくというメッセージを込めることができる 7イニング制については、日本高野連が5月30日と6月6日に、高校野球の指導者のほか、元プロ野球監督や医師らによる意見交換会を開く。日本高野連の検討会議の最終報告書はこちら(抜粋)






