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沖縄尚学・比嘉公也監督 日本高校野球連盟は7イニング制導入について議論を進めている。検討会議は、暑さが厳しい夏の全国選手権大会において「可及的速やかに採用することが望まれる」などとする最終報告書をまとめている。昨夏の全国選手権大会で初優勝した沖縄尚学の比嘉公也監督(44)に聞いた。そこまでドラマって多いですか ――7イニング制の議論をどのように受けとめますか。 正直、部員の体調のことだけを考えたら、9イニングでも大丈夫だと思います。普段から練習をして暑さに慣れているし、試合中は攻守交代でベンチ内で休む時間があるからです。 ただ、炎天下で観戦する人たちからすると、近年は地獄のような暑さだと思います。沖縄は6月に地方大会が開幕しますが、気温は30度近い。グラウンドに立ちっぱなしの審判の方たちも危険です。 いま問題になっているのは、部員の暑さ対策だけではありません。審判、観客、大会運営の負担など総合的に考えたら、7イニング制でも仕方がないかなと思います。 ――7イニング制になれば「終盤のドラマがなくなる」という声があります。 そこには疑問があります。そこまでドラマって多いですか? 「戦術が大きく変わる」という意見もありますが、僕はよくわかりません。7イニング制なら良い打者の順に1番から並べる、投手の交代が少し早くなる、でしょうか。7イニング制でも野球の根底が覆るわけではないと思います。 ――7イニング制で行われたU18(18歳以下)ワールドカップで日本代表コーチを務めた経験がありますね。 試合時間は短いなと思っても、嫌だとはならなかった。デメリットもあると思うが、日本高校野球連盟の方たちもいろいろと考えてくれている。スポーツは決められたルールに沿ってやるものと思っています。 また、投手の球数が減る一方で、故障のリスクが高まるのではないかと感じています。 僕も投手でしたが、イニングが短くなったら1球あたりの出力が上がるかもしれない。それによって肩ひじへの負担は9イニングより大きくなる可能性があり、注意が必要です。 いろいろと感じることはありますが、僕はたぶん、他の人よりイニング数にこだわりがない。野球を通じて、子どもたちがどう大きく育つか。それしか考えていません。 めざすのは長距離打者なのか、140キロを投げたいのか。どこに価値を求めているのか。選手に現状を把握させた上で、意思を確認します。どのような練習方法があるのかを考えさせる。高校野球は通過点で、その力が社会でも生きてくると思うからです。そもそも長時間の練習は必要ない ――7イニング制導入の検討会議が出した最終報告書では、練習や試合の時間に変化が生まれ、高校野球に取り組みやすくなって部員増に効果がある、とされています。 練習時間に変化があるかどうかは学校次第でしょうね。 沖縄尚学はもともと練習時間が長くありません。午後3時半にグラウンドに来て、練習を始めるのは4時すぎ。6時半には終わります。ウォーミングアップやグラウンド整備を入れたら、実際に動いている時間は2時間もない。 人間の集中できる時間は限られている。学校によっては5、6時限目の体育の時間を活用して部活動をしていると聞きますが、それこそ僕なら夕方まで集中できない。そもそも長時間の練習は必要ない、という考えです。7イニング制は米国で基本線、2時間制限や3回コールドの追加規定も ――高校野球が直面する一番の課題は何だと考えていますか。 一番はお金です。バットやグラブ、スパイク、ソックス、手袋などは消耗品で全てが高くなっています。これこそ野球離れの原因であり、すぐに解決に取り組むべき課題です。 旅費も高騰している。優勝した昨夏の全国選手権大会ではチーム関係者の宿泊代など、かなり高額な費用がかかりました。 日本学生野球憲章は「学生野球が商業的に利用されてはならない」と定めていて、企業の援助は受けられません。 ただ、他のスポーツは、どんどんスポンサーがついています。どの学校も憲章の規制を緩和できないか、と言っています。お金を学校の宣伝に使うわけではありません。 部活動に必要な費用の使途を明確にして、余ったら返すような制度をつくれないでしょうか。7イニング制に「変えてはいけない」 大阪桐蔭の監督が反対する理由高校野球の7イニング制議論とは 関連ニュースはこちらから 日本高校野球連盟は、暑さ対策や肩・ひじなど選手の健康を守ること、少子化による部員数減少への対応などを目的に、公式戦での7イニング制導入について2024年から議論してきた。 25年12月には、「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が「2028年春以降、全公式戦で7イニング制を採用することが望ましい」などとする最終報告書をまとめた。暑さが厳しい夏の全国選手権については「可及的速やかに7イニング制を採用することが望まれる」とした。 最終報告書では、学業の妨げにならないように全国大会は長期休業中に行うことと、阪神甲子園球場で開催するのが望ましいことを前提とした。甲子園が100年以上にわたって高校野球の会場となり、「聖地」と呼ばれていることが重視された。 7イニング制の提案理由について、以下のことを挙げている。 ▼試合時間の短縮によって、少人数のチームの熱中症リスクを減らすことができる ▼投球数の減少で投手の障害予防につながる ▼日々の活動や練習試合の時間に変化が生まれ、高校野球に取り組みやすくなり、競技の普及効果も期待できる ▼大会運営に関わる教員らの休日の拘束時間を減らすことができる ▼全国大会は国内外で放送・配信されて注目されており、日本社会の全体の中の高校野球という点も重要視した上で、課題解決へ向けて自ら変化していくというメッセージを込めることができる 7イニング制については、日本高野連が5月30日と6月6日に、高校野球の指導者のほか、元プロ野球監督や医師らによる意見交換会を開く。日本高野連の検討会議の最終報告書はこちら(抜粋)






