コラム・寄稿社会保障は知らなければ使えない 情報欠如が命の危機を招くことも編集委員・清川卓史印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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記者コラム「多事奏論」 編集委員・清川卓史 介護保険の「認知度」について、ある調査結果を見た。介護保険の利用経験がない20歳以上65歳未満の3千人にウェブ調査で聞いたところ、制度の内容を「まったく知らない」「ほとんど知らない」という回答が約6割を占めたそうだ。長寿社会開発センターが3月に公表した。 社会保障のなかで介護保険はメジャーな制度だと思うが、それでも6割は「知らない」。2000年度の施行時から取材してきた私は軽いショックを受けた。 若い世代への社会保障教育に取り組む社会福祉士・横山北斗さんによると、日本には社会保障制度と相談窓口が合わせて約400あるそうだ。数え方にもよるだろうが相当な数だ。しかし介護保険でも十分に認知されていない現状をみれば、他の制度の認知度は推して知るべし、だ。いざというとき、どんな制度を自分や家族が使えるのか、きちんと理解している人は、私を含めてどれほどいるだろうか。 横山さんが代表を務めるNPO法人Social Change Agencyは、10代の若者が楽しみながら制度の知識を学べる「社会保障ゲーム」を開発した。中学や高校の授業などでの活用が広がっている。 取り組みの原点は、横山さんが病院の医療ソーシャルワーカーだったときの経験だ。困窮し保険証がないインターネットカフェ生活の若者が救急搬送されてきた。若者は、医療費が減免される無料低額診療を知らず、生活保護も若い世代は使えないと思い込んでいたという。公助についての情報の欠如は、ときに命にかかわる事態にもつながる。 社会保障ゲームでは、3種類のカードを使う。①10~20代の男女12人のキャラクターカード②「難病で入院」など登場人物が経験する人生の危機が書かれたピンチカード③社会保障制度や相談窓口の情報などが書かれたアイテムカード、だ。登場人物の立場になってピンチで使える制度があるかを考え、話し合う。これがゲームの大まかな流れだ。 昨年秋、ゲームを活用した授業の様子を東京都内の高校で取材した。 「自分も社会保障に助けられ…この記事は有料記事です。残り525文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人清川卓史編集委員|社会保障担当専門・関心分野認知症・介護、貧困、社会的孤立関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする