【社説】あなたの終活、支援するのは 頼れる身寄りいますか?2026年5月17日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●高齢者の日常生活の支援や死後事務は、これまで「身内の誰か」が担ってきた●身寄りがない人が増えるなかで、どう社会として対応するかが、問われている●今国会で社会福祉法などの改正案が審議されるのを機に、グランドデザインを描きたい
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人生終盤の暮らしを安定させ、死後の始末も担う。これまで「身内の誰か」が引き受けてきた、光の当たりにくい働き――いわば「シャドーワーク」の課題を可視化し、社会としてどう支えるのか。国や自治体は取り組みに本腰を入れるときだ。私たちも自分事として考えたい。 社会福祉法などをまとめて改正する案が今国会で審議されている。柱の一つとして、頼れる身寄りがいない高齢者などを支援する業務を、新たな「社会福祉事業」として制度化する。 具体的には①金銭管理や福祉サービスの利用など日常生活支援②入院や施設入所の手続き支援③葬儀や家財処分などの死後事務支援、である。急増する「おひとりさま」高齢世帯 背景には「おひとりさま」の増加がある。今の高齢者は別居する子や兄弟姉妹がいる割合が高いが、少子化や未婚化が進めば、その割合は低下する。85歳以上の一人暮らし世帯数は、2040年には今から約100万世帯増え、289万世帯になる見通しだ。身内を頼れなければ、何か別の仕組みが必要になる。 これまでは「判断能力が不十分な人」を対象に、①を「日常生活自立支援事業」として、都道府県社会福祉協議会に実施を義務づけていた。 だが、予算やスタッフの不足で、近年は利用者数が5万6千人台で頭打ちになっている。全国で数千人の待機者が出ているのが現状だ。 一方、今回の改正はこれまでの事業を衣替えし、支援対象に「頼れる身寄りがいない高齢者」を加え、一気に広げる。②入院・入所と③死後事務という、難易度が高い支援業務も加わる。無料・低額利用の枠は設けるが さらに、届け出だけで参入できるようにし、これまで「無料・低額」だった利用料の設定も自由化する。ただし、お金があまりない人を対象に、無料・低額の利用枠を設けることは義務づける。 しかし、その費用を他の利用者が払う料金でまかない、事業として成立させるのは、かなり難しそうだ。 制度を所管する厚生労働省は、高齢者施設を運営する社会福祉法人や、農協や生協などの協同組合組織の参入を期待する。ただ、支払い能力に応じたサービス提供や、死後事務をめぐるトラブル防止などの課題は山積する。 家族の代わりは無料ではない。何を、誰が、どの程度の費用で担うのが妥当なのか。個人の備えだけでは支えきれない領域への社会の向き合い方が問われる。今回の法改正を機に幅広く課題を共有し、法の枠組みを超えたグランドデザインを描く必要がある。身寄りない高齢者支援、社協の義務に 人手不足の現場からは戸惑いも「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






