【社説】人手不足で疲弊する市町村 「地方分権」損なわない支援策を2026年5月15日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●人手不足で疲弊する市町村を都道府県や国がどう支えるか。政府の審議会で議論が進む●地方分権論議では、市町村への事務や権限の移譲がテーマだった。今回は方向性が逆転した●分権の理念である「住民主体」「自治体主体」を大切にした検討が求められる
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少子化と高齢化が同時に、かつ急速に進む。その影響は、大都市圏以外の、いわゆる地方の市町村で特に大きい。人口が減っても行政が担う業務はなかなか減らず、職員不足は深刻だ。疲弊する市町村を、都道府県や国がどう支えていくか。 地方分権の推進をめざし、国から県へ、県から市町村へ事務や権限を移す旗振り役を担ってきた首相の諮問機関「地方制度調査会」(地制調)で、市町村の負担を減らすため、言わばこれまでとは逆方向の議論が進んでいる。 1999年に成立した地方分権一括法は、国と地方の関係を「上下、主従」から「対等、協力」へ改めようと、住民に身近な行政はできるだけ自治体に、とりわけ市町村に任せる方針を示した。 もちろん、小さな市町村までがすべての業務を単独で担えるわけではない。公的医療制度などは県単位で運営され、消防や水道の事業でも広域化が図られた。民間への委託も拡充されてきた。 ただ、こうした取り組みだけでは限界が見えてきた。既に土木・デジタル分野など専門職員の確保はままならず、一般職員の採用も厳しくなると見込まれる。地制調での検討が転換点を迎えたのも自然な流れだろう。大切にすべき地方分権の理念 忘れてならないのは、地方分権を支える「住民主体」「自治体主体」の理念だ。 地域の実情をもっともよく知るのは、地元の住民であり、役場だ。両者が協働して課題に向き合い、活性化へ創意工夫を重ねる営みが、地域存続へのカギとなる。 県と国は、市町村での挑戦を後押しするため人手や知見を提供し、市町村単位では困難だったり非効率だったりする業務を肩代わりする。そうした発想で新たな役割分担について議論を深めてほしい。 分権一括法の施行後、鳴り物入りで国が進めた政策の検証も欠かせない。 国から地方への補助金と地方交付税の見直し、税源移譲がテーマだった「三位一体改革」では、金額を巡る論争が先に立ち、国と地方の役割を再考する視点は乏しかった。市町村の基盤強化を目指した「平成の大合併」では、合併後の自治体の周辺部で過疎化に拍車がかかった。 行政を支える情報システムに関しては、自治体が個々に開発してきたシステムの仕様統一を国主導で進めているが、削減を見込んだ経費が逆に増す事例が相次ぐ。 なぜ、どこで誤算が生じたのか。改めて分析し、今後の議論に生かす姿勢が、地制調に求められている。「フルセット主義」の地方自治「転換点に」 見直される分権のあり方「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする








