深掘り救世主は「田植えしない」新農法? 農地集約、何も変わらぬ未来地図井東礁 編集委員・大日向寛文印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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連載「減反は何をもたらしたのか」⑤ 「あなたに貸している農地、不動産会社から売って欲しいと言われたんだけど」。2年ほど前、中国地方の30代の農家の男性は、農地の所有者に突然こう言われあぜんとした。 男性は親から相続した水田に、隣接する離農した農家の水田を借りてくっつけた。面積は計3ヘクタール。自費であぜの撤去などの工事を行い、効率的に耕せるようにした。男性が耕す約計60ヘクタールの農地の中で、1カ所にまとまった最も広い水田という。 賃借契約は10年近く残っている土地もある。「話にならん」。不動産会社との交渉で当初は難色を示したが、断り切れなかった。男性は、この土地所有者からほかの農地も借りている。「断ったら、農地をすべて返してと言われかねない」と心配したからだ。【前回④を読む】新潟のコメ、ゴミ袋の原料に 経済原理欠いた減反「皆が等しく痛み」 水田の売却の話が持ち上がったのは、農地に隣接する幹線道路の工事が始まったからだ。水田をつぶして倉庫に変える方向という。 2017年に施行された地域未来投資促進法で、農地の転用がしやすくなった。不便な場所にあって耕作放棄された土地は、他の使い道に乏しく誰も欲しがらないかもしれない。一方、工場や物流に向いた交通の便がよく平らな土地は、農地としても好条件なことが多い。政府が食料安全保障を掲げるなか、そのような農地は保護されそうなものだが、逆に農地転用の規制は何度も緩和されてきた。 農林水産省幹部によると、背…この記事は有料記事です。残り1550文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人大日向寛文編集委員|経済政策専門・関心分野財政をはじめとする経済政策全般関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする