【社説】中台関係の現状維持が共通利益 「台湾独立」は論点ではない2026年5月18日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●中台関係では、現状維持が双方を含む国際社会の共通利益である●台湾側も独立ではなく、中国による統一は拒みつつ現状維持を志向している●米国は台湾問題を中国との取引材料にせず、地域の安定を考えるべきだ

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習近平(シーチンピン)国家主席は台湾統一への強い意志を示した。一方のトランプ大統領の姿勢が、定まらない。14日の米中首脳会談から、そんな印象を受ける。確認すべきは、中台関係の現状維持こそが中台双方のみならず、各国の共通利益であることだ。 14日の会談で習氏は、台湾海峡の平和と「台湾独立」が相いれない、と言った。中国軍が台湾を取り囲んで演習を繰り返して圧力をかけていることを棚に上げ、台湾の独立勢力が平和の敵という論法には首をかしげる。 台湾の頼清徳(ライチントー)・民進党政権が台湾独立を図っていると習氏は言いたいのだろう。だが、頼政権が目指しているのは独立の企てではなく、現状維持である。 もともと台湾独立とは、大陸から台湾に移ってきた「中華民国」でなく「台湾共和国」として建国することを意味した。民進党が綱領に掲げたが、現実的ではない。20年以上、封印している。 頼政権は、中国共産党による台湾統一を拒む。これを中国側は台湾独立と呼びたいのだろう。だが、この拒否感は頼政権に限らず、台湾社会で広く共有されている。 トランプ氏が抱える問題も深刻だ。テレビの取材に「今の台湾には独立を望んでいる人がいる」と話した。中国側の誇張を無批判に受け入れたようにみえる。 しかも、トランプ氏は140億ドル規模という台湾への武器売却について「承認するかもしれないし、しないかもしれない」と話した。そのうえこの問題を中国との「交渉材料」にするという。 米国は1979年に中国と国交を結ぶ際、台湾と断交したが、国内法として台湾関係法を制定した。台湾を含む西太平洋地域の平和と安定をめざすとし、台湾に「防御的性格」の武器を供与することを定める。中国との軍事バランスを考慮したものだ。その目的は現状維持である。 これはトランプ氏の気まぐれで左右できる問題ではなく、中国との取引材料にすべきものでもない。 台湾の人々が中国に統一されることを拒んでいるのは、一党支配に組み込まれることへの嫌悪感だ。長きにわたる国民党の独裁と戒厳令を経て、民主化を遂げた台湾では人権が守られ、人々は言論の自由を享受している。 台湾で初の直接選挙で李登輝氏が総統に就任して、今年で30年になる。台湾の自由と民主主義は、アイデンティティーとして定着した。 現状維持とは、それを守ることでもある。トランプ氏、台湾への武器売却「中国次第」 交渉材料にする考え示す「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする