深掘り「現代でも市街地は燃える」 相次ぐ大規模火災、防火や避難は鈴木智之 編集委員・佐々木英輔 グラフィック=米沢章憲印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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11月18日に大分市佐賀関(さがのせき)で起きた火災は、180棟以上を巻き込む惨事になった。こうした大規模火災は近年も起きており、「現代でも市街地は燃える」と専門家は指摘する。何をきっかけに、どう広がるのか。防火や避難の注意点は。 大分市の火災の延焼範囲は、5万平方メートル近くに達した。これに匹敵する規模で市街地が燃えたのが、2024年1月の能登半島地震に伴う石川県輪島市のケースと、16年12月の新潟県糸魚川市のケースだ。地震では「消防力低下」 輪島市では、店舗や木造住宅が密集していた「輪島朝市」付近が焼けた。午後4時過ぎの地震発生から約1時間後に火災を覚知。翌朝までに4万9千平方メートルが燃え、249棟が焼失した。 消防庁などの調査によると、明確な出火原因は特定されておらず、揺れで屋内の電気配線が傷ついた可能性があるという。これが燃え広がり、飛び火も発生した。 消火活動は困難を極めた。 建物が倒壊したうえ断水が生じ、土地の隆起によって隣接する川の水位も下がっていた。大津波警報が出て、浸水の恐れもあった。火は、川や空き地、燃えにくい外壁の建物などに達するまで、広がり続けた場所が多かった。 東京大の広井悠教授(都市防災)は「地震では消防力が著しく低下する。道路が壊れると応援要員が来られず、同時多発のリスクもある。普段なら消せる火災も消せなくなる」と指摘する。地震で壊れた建物も、燃えやすい部分がむき出しになって延焼を招く。つながった無線、届いた一言「応援頼む」 消防署長は現場に向かった木造密集の街 リスクどこでも 糸魚川市の火災は大分市と同様、地震と関係なく強風下で起きた。 現場は糸魚川駅に近く、木造の建物が密集する市街地。当時は強風注意報が発表されていた。1軒のラーメン店から始まった火災による火の粉は、陸から海に向かう風に乗って10カ所以上に飛び火。夜までに約4万平方メートルが焼けた。 木造密集市街地は、東京などの大都市でも課題だ。輪島市も糸魚川市も「そこまで密度は高くない」ものの、火災は広がった。地震時を除く大規模な市街地火災は1976年の酒田大火(山形県)以来、しばらくなかったが、糸魚川に続き大分でも起きた。 めったにないとはいえ、地震や強風などの条件がそろえば大規模化のおそれはある。「日本の市街地はまだまだ燃える」と広井さんは警鐘を鳴らす。山火事が強風と乾燥で拡大 気候変動でリスク増? 山火事が広がって住宅を巻き込む。そんなリスクを示したのが、今年2月に岩手県大船渡市で起きた火災だ。 出火から約2時間で600万平方メートルが焼けた。「こんなにも速度が速いんだと非常に驚き、恐ろしく感じた。居住地に迫ってしまうのを食い止めることはできないだろうと思った」。京都大防災研の峠嘉哉特定准教授(水文学)はこう語る。出火当時、数日前に発生した別の林野火災の調査で、近くに滞在していた。 乾燥に強風が加わり、火は急…この記事は有料記事です。残り1649文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません