【社説】「ドン」が辞職した福岡県議会 県民代表の責任を果たせるか2026年8月30日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●議長ポストなどを巡る金銭授受疑惑に揺れる福岡県議会で、「ドン」と呼ばれた蔵内勇夫氏が議員を辞職した●第三者委の調査が急務だ。高額な海外視察など、問題は他にもある●県も第三者委を設ける。知事と議員が選挙で選ばれる「二元代表制」のもと、県民への説明と責任が問われる

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福岡県議会は県民の信頼を取り戻せるか。当選10回、議会の「ドン」と呼ばれ、2度目の議長を務めていた蔵内勇夫氏は議員を辞職した。しかし、議長・副議長ポストを巡る議員間の金銭授受疑惑の解明はこれからだ。 この疑惑にからむ議員辞職は、金銭の受領を名指しされた中尾正幸副議長(当時)に次いで2人目。8月中旬の臨時議会で蔵内氏の議長職辞職勧告決議案が提出されたが、緊急動議により採決は中止され、批判が高まっていた。 蔵内氏は中尾氏と同様、疑惑を否定しており、来春の統一地方選への影響を考えて辞職を決めたという。これで問題の幕引きとはいかない。県議会は弁護士による第三者委員会の設置を決めている。蔵内氏ら辞職議員を含め、徹底した調査が急務だ。 議会が解明すべき問題は他にもある。まず、高額な海外視察である。今の議員の任期が始まった2023年以降で20件を超え、経費は計2億6千万円余にのぼる。宿泊額が県の基準を大きく超え、旅行会社と随意契約した後に契約額が膨らんだ例が目立つ。 そして、人と動物の健康と環境の健全性を一体として考える理念「ワンヘルス」関連事業だ。獣医師で世界獣医師会長でもある蔵内氏の肝いりだが、意義や資金の使途に疑問や批判が出ている。 議会だけでなく、福岡県当局も問われている。県も第三者委を設置 県職員の互助会「部課長会」は、給与から天引きする積立金で議長・副議長の政治資金パーティー券を購入していた。県職員は、自民以外の会派の議会質問案を自民側に事前に横流ししていた。 県の要職を歴任してきた服部誠太郎知事は「何十年も積み重なった議会と県執行部の間のいびつな関係において、職員の中で議員との上下関係の意識が続いてきた」と指摘。「職員を守らなければならない」として、議員らの不当な働きかけを定義する条例案を議会に提出するという。 蔵内氏と二人三脚で進めてきたワンヘルス事業では有識者会議の審議が始まり、さっそく厳しい声が相次いだ。部課長会によるパーティー券購入と、知事ら県側も頻繁に行ってきた海外視察については、県も第三者委を設置する。外部の目による調査に対し、県議会と県は全面的に協力しなければならない。 海外視察に関しては、議員の分も県の第三者委が調べるという。県議会の動きが鈍いためだ。議員に危機感はないのか。県民の代表として崖っぷちにあることを自覚しなければならない。【まとめてわかる】福岡県議会で問題続出 何が起きているのか「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません