美術館で見る「孤独のグルメ」漫画家谷口ジローの足跡を原画でたどる2026年8月22日 12時00分佐藤常敬印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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「孤独のグルメ」などで知られ、世界的に高い評価を受けた鳥取市出身の漫画家、谷口ジローさん(1947~2017)。その足跡をたどる国内最大規模となる企画展「マンガを拓く 谷口ジロー」が、鳥取県倉吉市の鳥取県立美術館で開かれている。緻密(ちみつ)なペンタッチと心にじんわり響く物語で世界を魅了した巨匠の秘密を、貴重な原画など約300点からひもとく。会期は30日まで。もはや神業のスクリーントーン 見どころは、谷口さんの特徴の一つと言われるスクリーントーンの技術だ。点などの集合で濃淡を表現するシール状の画材を、貼る、削る、重ねる。この手作業を繰り返し、写真のような光と影、空気感までを描き出す。 展示を企画した美術館の龍門さくらさん(31)は「デジタル作画が主流の今、失われつつある伝統工芸の域に達した表現」と話す。「歩くひと」では、プールの水面が主人公の泳ぎで静かに揺らぐ様子が繊細な技術で表現され、多くの来館者をひきつけていた。 谷口作品の魅力は、何げない日常に潜む豊かさを見いだす視点にある、と龍門さんは話す。ただ散歩するだけの「歩くひと」、ひたすら食事を楽しむ「孤独のグルメ」。大きな出来事は起きないが、読者は主人公の心の機微や、ふとした瞬間の世界の美しさに没入する。文章が「最高の食事シーン」になるまで 原作者との共作が多いのも特徴の一つ。展示では、「孤独のグルメ」の鳥取市役所の旧庁舎食堂で親しまれた「スラーメン」の回を題材に紹介。原作者の久住昌之さんの文章が、いかに豊かな食事シーンになったかを、原画と文章を比較しながら解き明かす。龍門さんは「文章から絵をイメージして見せ場を作って漫画にしていく谷口さんのすごさを感じてほしい」。作品に宿る、故郷の鳥取 若い頃は鳥取を離れることを望んだ谷口さんだが、キャリアを重ねるにつれ、故郷が作品に登場する。「父の暦」では自身の鳥取大火での被災体験を織り交ぜ、「遥かな町へ」では倉吉の街並みを丹念に描いた。 「故郷に帰るのではない。故郷は心に帰ってくるのだ」。谷口さんの言葉も、どこかなつかしい鳥取の情景を描いた作品の原画とともに紹介されている。世界が愛した「TANIGUCHI」 フランスの漫画「バンド・デシネ」に影響を受け、独自の表現を切り開いた。才能は国境を越え、フランスのルーブル美術館の依頼で作品を描き下ろしたり、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の紀行本シリーズを手がけたり。ヘブライ語など意外な言語圏を含む19の言語に翻訳され、その人気は世界的だった。 龍門さんは「谷口さんの作品は一枚の絵としても美しい芸術品。ぜひ、芸術として鑑賞する楽しみと、漫画として読む楽しみ、その両方を行き来してほしい」と話す。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする