深掘り上海=里見稔 鈴木友里子 サンフランシスコ=市野塊 編集委員・五十嵐大介 デザイン・中田竜成印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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きょう世界で最も優れた性能のAI(人工知能)をつくる国は米国だ。では明日は。来月は。来年は――。米国の背後には、中国の足音が迫っている。 中国・上海で7月に開かれた「世界人工知能(AI)大会」。習近平(シーチンピン)国家主席も初めて参加し、中国国営新華社通信によると4日間で延べ40万人以上が詰めかけた。 会場には、最新のAIの利用例や開発中のモデルの説明が並んだ。ひときわ注目を集めたのが、急速に普及が進む「フィジカルAI」だ。 配送センターのようなフロアでは複数のロボットが所狭しと動き回る。タオルやぬいぐるみなど形が異なる商品を、次々と仕分けしていく。 パンをトーストし、飲み物を注いで朝食の準備をする人型ロボットもいた。臨機応変に振る舞えるAIロボットは実用化が進み、中国国内の薬局や売店で、商品の取り出しや接客を24時間態勢でこなしている。 電子決済アプリ「アリペイ(支付宝)」の運営会社は、自社AIモデルを組み込んだ決済用AIを紹介。AIエージェントによるネットの買い物代行が増える時代を見据え、アリペイ側もAIで誤った決済を食い止めるという。 「中国のAIは百花繚乱(りょうらん)の段階だ」。ある企業の担当者はそう話す。多様な分野でのAI開発とその社会実装が、人材や技術、データを蓄積し、中国全体のAIモデルの力を底上げする。 多数の企業が群雄割拠する激しい競争にもまれ、有力な芽も育っている。 大会中の話題をさらったのは、新興企業の月之暗面(ムーンショットAI)が大会に合わせて発表したAIモデル「Kimi K3」だった。米国の最先端モデルに迫る性能に世界が驚いた。担当者は「世界一のAIモデルを作りたい」と話した。 中国の産業コンサルティング会社「ジャンシン(匠新)」の田中年一代表は「中国では注目産業に一気に人と金が集まり、生き残りをかけた競争が始まる。AI業界でも同じことが起きている」と話す。 中国政府は2026年から5年間の政策方針「第15次5カ年計画」で、AIへの注力方針を鮮明にした。官民を挙げた取り組みが、米国の最先端レベルに迫るAIの成長を促している。 あるAI開発企業の担当者はこう話す。「未来の発展をめぐって競争しているのは、実質的に我々と米国だけだ」 そして、こうも言う。 「もし負ければ、我々の世代が責任を果たさなかったことになる」 猛追する足音は、AI開発をリードしてきた米国の戦略にも影響を与え始めた。「オープン戦略」に焦る米国 「私が最も懸念しているのは…この記事は有料記事です。残り2396文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません