ストーリー「病気でも人生を楽しんでいい」がん経験者が歩いた希望のランウェー2026年8月15日 10時00分岩本美帆印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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がんになっても、人生という1回きりのランウェーを自分らしく歩いてほしい――。がんサバイバーの女性が10年ぶりにファッションショーを主催した。モデルを務めたのも、がんを経験した男女15人。寛解した人も治療中の人も「がんサバイバー」として、子どもと手をつないで登場したり、拳を高々と突き上げたり。それぞれの思いを全身で表現した。 東京都内で9日にショーを開いたのは、自身も乳がんを経験し、医療用帽子やウィッグなどのケア用品を企画販売する塩崎良子さん(45)。NPO法人キャンサーネットジャパンが主催するがん医療フォーラム「ジャパンキャンサーフォーラム」の一環で、ショーの題名は「LIVE MY OWN LIFE―私のランウェイを、私らしく歩く―」だ。 テーマは「リゾートファッション」とした。「がん患者になると、季節感がなくなりがち。ビーチに行ったり、友だちと遊んだりと、夏を楽しむワクワクした気持ちを味わってほしい」との願いを込めた。モデルが身につけたのは塩崎さんのブランド「KISS MY LIFE」の商品だ。 塩崎さんはパーティードレスのレンタル会社を経営していた33歳の時に乳がんを発症し、右胸を全摘出した。会社を畳み、治療で髪も抜け、再発の不安を抱えた。「仕事が自分のアイデンティティーだったのに失ってしまい、うつ状態になった」という。 転機は2015年。若いがん患者の心の問題を案じる主治医から、ファッションショーを提案された。周囲の助けを得ながらショーを開催し、笑顔で歩く参加者の姿に背中を押され、翌16年も開いた。その年に再び起業し、機能性とファッション性を両立するケア用品づくりを始めた。コロナ禍での取引先の工場の倒産なども乗り越えた。 客の悩みに触れて、同じ経験を持つ者として一緒に落ち込むこともあったが、10年間でのべ約20万人の客の支持を得た。「結婚式でかぶりたい」と白いレースの帽子を購入し、式を挙げた女性もいたという。 10年前は「こんなケア用品があったら」と思い描いていた。そして今、自らの手で形にした。自分たちの商品を身につけた人たちに笑顔でランウェーを歩いてほしいと考え、再びショーを開くことにした。 「好きな色や服を身につけると自信が出て、ファッションには自分をリカバリー(回復)してくれる力がある」。がんになってもファッションで「自分」を取り戻してほしいと願う。 モデルとして参加した大槻匡美さん(44)は1年前に乳がんがわかり治療中だ。「体のだるさなどがあるけれど、病気でも人生を楽しんでいいんだと、今日のショーが教えてくれた」と話した。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません