「父親」か「監督」か 揺れる心と覚悟「甲子園で終われてよかった」2026年8月12日 19時45分大宮慎次朗印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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(12日、第108回全国高校野球選手権大会2回戦、仙台育英1―0花咲徳栄) ふと、目が合った。 花咲徳栄が1点を追う八回1死走者なし。岩井虹太郎が打席に立ったときだ。 「最後かもしれない試合なのでにこにこしてプレーしていたんですけど、監督と目が合った。監督と目が合ったので……」。三ゴロに倒れた。 岩井隆監督と虹太郎。 口もとの同じ位置にほくろがある。 「ほめられると調子に乗る」性格も同じという。 父と子であり、監督と一選手でもある。 明確な線引きはないのかもしれない。 「まじでちっちゃい頃から(花咲徳栄を)見ている」と虹太郎は言う。 小学生だった2017年夏、甲子園のアルプス席で父たちの全国制覇を目撃した。 2学年上の兄・福(ゆたか)も花咲徳栄の卒業生だ。 「深く考えず、自分もなのかなって」 2年前の夏。花咲徳栄が甲子園出場を果たし、兄は三塁コーチを務めた。1年生だった虹太郎はアルプス席で声をからしたが、初戦敗退した。 甲子園から帰ると、虹太郎は父に手厳しかった。 「応援しに行ったのに、なんで負けてんだ」 その秋から、遊撃手のレギュラーをつかんだ。 負けん気が強く、初球からがんがん仕掛ける。遊撃の守備位置では、いつも投手に向かって声を張り上げている。表情をころころと変えながらプレーし、ユニホームは常にどろんこだ。 岩井監督は言う。「要はさ、(虹太郎は)花咲徳栄が負けることが嫌なの。生まれたときから強い花咲を見て育っているので」 今春の選抜大会は父とともに黒土を踏み、8強入りを果たした。そして最後の夏も、甲子園に戻ってきた。 しかし、仙台育英に完封負け。 虹太郎は3打数1安打1四球で、守備での好プレーもあった。 真摯(しんし)に負けを受け止め、はきはきと取材に語った。その口から、「監督」と「お父さん」が交互に出てきた。 「監督に優勝を、と思ったけど、甲子園での一勝は難しかった」 「お父さんを甲子園に連れて行けて本当によかった」 長男から次男へ。計4年半続いた「父子鷹(だか)」が、この夏で終わった。 監督業は多忙で、ほとんど寮で暮らす。息子たちが花咲徳栄に入学しなければ、親子で過ごせる時間は週末くらいだったという。 岩井監督は言う。 「本人(息子たち)が覚悟を決めてやるんであれば、こちらも覚悟を決めてね。まあいろいろ悩むとこもありましたけど……。甲子園で終われてよかった。これだけです。監督としても、父としても」有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
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