夫支える「透明人間」だった私 美輪さん「悩みのるつぼ」相談者は今編集委員・後藤洋平印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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美輪明宏さんの「悩みのるつぼ」 相談者たちは今(1)朝日新聞の人生相談企画「悩みのるつぼ」の回答者を長年務めてくださった美輪明宏さんが6月、亡くなりました。これまでの相談者に再度連絡を取り、「その後」を取材しました。 「私はあなたを心から尊敬し、応援しています」 つらくなるたび、女性はその言葉を読み返している。 美輪明宏さんが、朝日新聞の週末別刷り「be」の人生相談「悩みのるつぼ」で女性の悩みに答えたのは、2025年1月25日だった。相談者は40代。30歳で結婚した直後、夫が難病を患い、車いすで暮らすようになった。 生活は一変した。夫は体への負担が少ない時給制の仕事に移り、女性は家計の大黒柱になるため大手企業へ転職した。将来、車いすで暮らしやすいよう改装することも考え、自分名義で中古マンションを購入した。 夫の病状が進めば、介助は介護へと変わっていく。少し外出するにも準備が要る。混雑を避けるため、店には朝一番に出かける。稼いだお金で家具を買いたい。思いつくまま外出し、寝たいだけ寝て、普通に外食したい。そんな思いが膨らむことがあった。【当時の相談と美輪さんの回答】結婚直後に夫が難病…なぜ自分だけ 憎むべきなのは病気であって、夫ではない。それが分かっているからこそ、苦しさを口にできなかった。 「私は一体どうすれば、現在の日々を前向きに送れるでしょうか」 相談が美輪さん宛てに届いたのは、掲載の少し前、同年1月上旬だった。編集を担当する私が電話で内容を読み上げると、美輪さんはいつにも増して感情をあらわにした。 「私なんかに言われても、大した励ましにはならないでしょうけれど、この美輪明宏はあなたのことを心から尊敬しています。何度でも言いたいぐらいです」 美輪さんは、夫も心の中では泣きたいほど女性に感謝しているはずだと語った。美輪さん自身も何度も病を経験し、そばで支える人のありがたさを身をもって知っていたからだ。 女性が仕事で結果を出しているからこそ、マンションを購入できたことにも触れた。 「あなたがなぜ仕事ができるか、職場でも求められるか、私には分かります。あなたが愛にあふれた方だからです」 美輪さんの人生相談を10年にわたって担当していたが、一人の相談者をこれほどストレートに、繰り返し「尊敬している」と称賛するのを聞いたことはなかった。電話を握りしめながら涙を流した私は、回答の掲載を待たず、話の要点をメールで女性に伝えた。 返事のメールは、送信から34分後に届いた。相談者の悩みは以前と同じ。でも… 「届いてすぐ読んだのですが…この記事は有料記事です。残り1599文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません