印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするAストーリーズ 祭りの灯 だれと続くのか(2) 全国には約8万の神社がある。その多くで地域の祭礼が営まれ、行事や民俗芸能が受け継がれてきた。その祭りが今、各地で岐路に立っている。
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「トン、トン、トン」。太鼓の音を響かせながら、みこしを載せた軽トラックが山道を進む。【動画】山道を行く軽トラみこし=柴田悠貴撮影 山口県光市室積村の伊保木地区。かつて、この集落には棚田やミカン畑が広がっていた。五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を願う人々がみこしを担ぎ、子どもたちは旗を手に列をなして、海を望む山道を練り歩いた。 地区の中心にある磯辺八幡宮の夏祭りは、230年続く。かつては若者たちがみこしを担ぎ、三味線や踊りでにぎわった。 しかし、地区の外へ働きに出る住民が増え、高齢化が進み、農業で生計を立てる人は減った。やがて担ぎ手は人から軽トラックに成り代わった。 「10年後には消滅集落ですわ」 地区(五軒屋、東伊保木、西伊保木、岩屋)の住民組織「伊保木ぐるみ協議会」の会長、大嶋浩一さん(72)は語る。 30年前に行われた地区の磯辺八幡宮の鎮座200年を祝う祭りには約40人の子どもが参加していたという。いま地区に中高生の姿はなく、小学生も1人だけだ。高齢化率は65%を超えた。 みこしの飾り付けや届け出、御旅所の設営など祭りの準備は多岐にわたる。担い手が減る中、複数の役を兼ねながら支える高齢者も少なくない。 大嶋さん自身も、3年前の夏に脳出血で倒れ、年の暮れまで車いすで生活した。今も、左半身にまひの後遺症を抱えながら、祭りではみこしや太鼓を載せた自身の軽トラックを運転している。「断ったらみんなが困るでしょう」 任せたくても、他に任せる相手がいない。約40年前に地区へ移り住み、総代も務めたことがある住民は「負担を次世代に残すべきではない」と訴える。 担い手が減り続ける中、なぜ祭りを続けるのか。大嶋さんは「一度やめたら、二度とできんようになるけえね」とつぶやいた。 神社の宮司の金長広典さん(76)も「祭りは神社の生命線」と話す。「やめるかどうかは次の世代が決めたらいい。今の私たちが考えるべきなのは、どうやって伝えていくかです」 祭りは本来、地域の人々が顔を合わせ、支え合いながら信仰や祈りを受け継ぐ場。「祭りがなくなれば、人と人とのつながりだけでなく、土地への感謝や祈りの気持ちも薄れてしまうかもしれません。神社はただご神体をまつるだけの場所になりかねない」と金長さんは危機感を抱く。 文化庁の宗教統計調査によると、2016年度から25年度の10年間で、神社は685社、寺院は926寺減った。地域の信仰を支える基盤も、少しずつ縮小している。【連載初回】100万人の熱気の陰で パナソニック撤退が映す青森ねぶたの課題この先、1000年以上の歴史を持つ日本三大奇祭の一つ「黒石寺蘇民祭」が、なぜ外部の支援に頼らず「終了」という道を選んだのか迫ります。「形」残すか、「本来の意味」守るか 祭りの存続に苦悩する集落が…この記事は有料記事です。残り749文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






