【社説】放置できぬ中国の過剰生産能力 問われる世界経済への責任2026年8月10日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●中国製品は軽工業品から先端技術製品まで幅広い分野で世界市場を席巻している●欧米は「過剰生産能力」として中国を批判する。要因は補助金のほか地方政府の行動など複合的だ●途上国の経済発展を阻害するおそれもある。中国自身を国際的な協議に関わらせて事態の打開を図るべきだ
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メイド・イン・チャイナが世界市場を席巻している。 製造業の競争力を着実に高めてきた中国は今、電気自動車で世界シェアの6割前後を占めている。家電、造船などのほか、衣料品、玩具といった軽工業品も優位を維持する。この幅広さこそが中国経済の強みといえる。 国内景気は停滞気味だが輸出は堅調だ。今年上半期は前年同期比で17.6%の高い伸びを記録している。 輸出攻勢は中国の生産能力が過剰だからだ、と欧米諸国が問題視している。経済協力開発機構(OECD)が6月に出した報告書の推計によれば、2005~24年に中国の製造業企業が受けた補助金は他のOECD加盟国の3~8倍に上った。それが世界シェアを伸ばすことにもつながったという。政府の関与が競争条件をゆがめた、との見立てである。 これに対し、中国商務省が7月28日に反論の文書を発表した。補助金は無関係であり、中国が「世界の工場」となったのはグローバル化による国際分業の結果で何ら問題はないと主張している。 実際のところ、中国の生産能力が拡大した要因は複合的とみられる。補助金に加え、自国通貨の為替レートを抑えて輸出を促したとの評価も成り立つ。各地方政府が産業振興策を競い合い、地元企業の投資を後押しした面もある。そもそも貯蓄率が高く、企業に資金が回りやすい。 これまでも、ほぼ10年周期で設備投資の行き過ぎが問題化してきた。過剰生産能力は根深い体質となり、国内需要では吸収しきれない生産が海外へと向かう。 経済構造を転換し、投資より消費が主導する経済成長をめざすべきだが、容易ではない。習近平(シーチンピン)政権は先端産業への投資を重視している。 各国とも対応に苦慮している。欧州連合(EU)は25年の対中国貿易赤字が3600億ユーロ(約66兆円)に上り、6月の首脳会議で議題になった。さらに深刻なのは、発展途上国だ。中国製品の流入が続けば、自国産業の育成を妨げることになる。タイやインドネシアなどからは悲鳴が上がっている。 この問題は以前からG7サミットでも議題にされていたが、進展はない。最大の理由は、当事国の中国が不在だからだ。米国のトランプ政権は高関税で対処しようとして混乱をもたらした。 中国が関与するかたちで望ましい方向を協議すべき局面を迎えている。世界経済に責任をもつ大国としての自覚を中国に求めたい。政府から補助金、中国製造業が突出 他地域の3~8倍 OECD分析「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません












