つらい経験も、伝わり共感してもらえたら 球場で見た私の知らない夏2026年8月8日 18時00分神戸総局・橋本龍之介 2026年入社印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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試合終了のサイレンが鳴る。仲間と肩を抱き合い、土まみれの袖で涙をぬぐう。私の知らない夏が、そこにあった。 149チームが参加した全国高校野球選手権兵庫大会を取材した。苦手な運動を避けてきた私は、最初は何をどう書けばいいのか分からなかった。試合に負けて落ち込む高校生に話を聞くのも、傷口を広げてしまう気がして怖かった。 2回戦のある試合が終わると、敗れたチームの監督は選手を集めて話した。「頑張ったことは誇ってよい。これからも野球を続けてくれ」。主将は歯を食いしばり、涙をこらえていた。帽子を握る拳は、悔しさに震えていた。 その姿を見て、「誰かに伝えたい」という思いがこみ上げてきた。つらい経験も、誰かに伝わって共感してもらえたら、折り合いをつけて前を向いてもらえるはず。そんな経験が私にもあり、記者を志した理由の一つになった。 高3の春、潰瘍(かいよう)性大腸炎を発症した。急な腹痛に襲われる原因不明の病だ。落ち込んだが、周りの助けで立ち直り、進学できた。大学2年の時、そのことを全国紙に投書した。すると、同じ病気を患う高校生の母親から「明るい希望を感じさせてくれました」との反響があった。病気は治らないが、救われた気がした。 敗れた球児の記事を書いた日の夜、知人から連絡があった。彼女は、私が取り上げた高校の野球部のマネジャーだったという。「本当に惜しい試合でした。記事で、後輩が頑張っていたことを知ることができました」。球児たちの努力は、たしかに読者に届いていた。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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