「甲子園で勝てなくても素晴らしい」 県高野連の元幹部が語った真意2026年8月4日 7時01分吉田啓印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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「甲子園で勝てなくても、私は宮崎県の高校野球は素晴らしいと思っています」。今春まで宮崎県高校野球連盟の理事長だった児玉正剛さん(60)は退任のあいさつでそう話した。その言葉を聞いて、宮崎代表が甲子園で勝つ術(すべ)を追ってきた私は少し混乱した。どういうことなのだろう。 言葉の真意を児玉さんに尋ねた。まず宮崎の高校野球の素晴らしさとして挙げたのが、多くのチームに甲子園出場のチャンスがあるということ。昨夏の宮崎大会で宮崎商が61年ぶりに連覇するまでは、毎年代表チームが入れ替わっていた。 「他県には、2、3の強豪が甲子園出場の多くを占めているところがある。全国から有望選手を集めて勝ち続けているチームもある。果たしてそれが、高校野球本来の姿なのかなと思うんです」 今夏の宮崎大会では参加47校のうち6割近くの27校に甲子園出場経験がある。児玉さん自身も2012年春、監督をしていた県立宮崎西高が選抜大会に出場した。 宮崎西高は県内随一の進学校だ。2年生までは平日3時間、土曜4時間、日曜6時間の「さんしろう」、3年生は平日4時間、土曜6時間、日曜8時間の「ヨーロッパ」の自習が当たり前とされ、選手たちは「素振りをするなら机にも向かえ」と勉学に追われた。 グラウンドも右翼フェンスまで60メートル余りと手狭で、優れた選手ばかりではない。「肩が弱くて、最初は送球が届かない内野手もいた。なぜ、このチームで甲子園に行けたのか、今でも不思議です」と振り返る。 それでも、エースは球速に劣る分をスローカーブと制球で補う投球術を身につけ、野手陣も派手さはないが堅実な守備を磨いた。11年秋の県大会で準優勝し、九州大会でも1勝を挙げて選抜大会出場に結び付けた。 圧倒的な力を持ったチームが存在しない分、普通の公立高でも鍛え上げれば本気で甲子園を狙える。その環境こそが宮崎の高校野球の良さだと、児玉さんは言う。 全国での勝ちにこだわらないわけではない。「野球を通じて人をつくる。野球を学びながら人として大切なことを学んでいく。その中で勝つということはすごく大事です」。勝利することで、努力や過程が間違っていなかったと自信につながるからだ。 高校時代にライバル校の同級生だった野球解説者の坂口裕之さんは「児玉さんが県高野連の理事長の時、誰よりも宮崎代表に勝って欲しいと願っていた」と明かす。 ただ、有望な選手が集中した特定のチームが甲子園で勝ちを重ねる姿を宮崎の高校野球の理想とは考えない。「いまはドングリの背比べかも知れないが、各チームがもっと力をつけて切磋琢磨(せっさたくま)し、高校野球の魅力を高めて部員数も増えていく」。そんな未来像を描いている。前宮崎県高野連理事長・児玉正剛さん 1965年生まれ、延岡市出身。日向高、筑波大で強打者として活躍し、大学日本一も経験した。長く中学教諭を務めた後、40歳で高校教諭に。宮崎西、宮崎北などで監督をし、2020年4月から6年間、宮崎県高校野球連盟の理事長を務めた。 ◇ 春と夏を合わせた宮崎代表の戦績は、2018年夏の第100回大会で日南学園が初戦で勝ったのを最後に、令和に入ってから0勝。これは全国で宮崎のみだ。甲子園で勝つには何が必要なのか。ヒントを得ようと高校野球に携わる人々を訪ねた。【県外の指導者は】甲子園は「間違いなく難しい」【宮崎商監督は】「明徳義塾の馬淵監督なら…」 あと1歩の遠さ【プロ野球選手は】宮崎大会で好投しても 常連校との違いは【野球解説者は】宮崎代表は「十分戦えている」【専門家は】金足農の準Vにつながった理論と実践有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






