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今月20日に開かれた「ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~」(読売テレビ/日本テレビ系)。今年は、〝夏のお笑いフェス〟を打ち出し大会の方向性が鮮明になった。一方で、二刀流を競うフォーマットならではの課題も浮かび上がる。決勝戦を振り返りながら、その現在地を考えたい。(ライター・鈴木旭)〝夏フェス〟へ大刷新昨年、大会意義や審査基準が議論を呼んだ「ダブルインパクト」。第2回となる今年はさまざまな点でリニューアルが施され、〝夏のお笑いフェス〟を印象づける決勝戦となった。まず、漫才は赤いステージ、コントは青いステージで披露することになった。これは、あらかじめ三つのシチュエーションでセットが組まれ、それぞれのステージでコントを演じる劇場型バラエティー「THE THREE THEATER」(フジテレビ系)をほうふつとさせる。また、前回に比べてスタジオの照明がクリアになったと同時に、ファーストステージの下位3組(8組中上位5組がファイナルステージに進出)が2本目のネタを披露しないまま敗退する〝脱落システム〟が導入され、会場の緊張感を生んだ。加えて、決戦会場とは別に特設会場「応援ビューイング」を設置し、時折ファンや関係者らが出場者にエールを送るシーンも見られた。まさに読売テレビが主催する上方漫才のコンクール「ytv漫才新人賞」を思わせる、ファミリー感や熱気が伝わる演出だ。審査員の選定も目を引いた。千原兄弟・千原ジュニア、中川家・剛、フットボールアワー・後藤輝基、アンガールズ・田中卓志の4人が続投する中、ナイツ・塙宣之に代わって起用されたのが大会の初代王者であるニッポンの社長・辻クラシックだった。「夏のエンターテインメントショー」「脱落システム」「自局コンクールの強み」を軸に、一大イベント感を打ち出す。2回目にして、ここまで方向性を明確にしたことには率直に驚いた。ファイナリストは、蛙亭、今夜も星が綺麗、滝音、ダンビラムーチョ、TCクラクション、ドンデコルテ、ななまがり、ビスケットブラザーズの8組(50音順)。ファーストステージが始まると、間もなくボルテージは最高潮に達した。ファーストステージは滝音が首位発進1番手、滝音のさすけと秋定遼太郎は漫才を選択。帰省したら母親の手料理をたくさん食べるという秋定が「ケンタッキー行ったらひとりでチキン36ピース食う」と言えば、さすけが「カーネルを3ダースいってるやんけ、おい」というパワーワードをぶつける。相手の言葉にさらに強いワードをかぶせ、時に意表をつくようにボケてはツッコむ。これがハマり、早々に彼らは475点(審査員ひとり100点の500点満点)という高得点をたたき出した。続くドンデコルテの小橋共作と渡辺銀次は、世間にあまりなじみのないコントで勝負。万引きをした高校生の少年(渡辺)に店員(小橋)が説教するも、結果的に少年がバックヤードの狭さや陳列棚のおかしさを指摘したり、ジャムパンの補充を手伝うことになったりするネタだ。コントらしいやり取りが光るも、461点と厳しい得点に。しかし、この結果が最後まで大会の臨場感を高めることになった。3番手のダンビラムーチョの大原優一と原田フニャオは、〝突然変異で動物の力を手に入れたビースト高校野球部が大阪桐蔭に敗れる〟という虚構と現実が入り交じったコントを披露し470点。2位につける。続くTCクラクションの坂本No.1と古家曇天(どんてん)は、リズムに乗って「この世にないもの」を言う〝ないものゲーム〟をめぐる漫才を見せるも459点と伸び悩む。そうかと思えば5番手、蛙亭の中野周平とイワクラが、〝給食時の校内放送中、マイクがオンのまま秘め事を話してテンパる独特な小学生放送部員〟を演じるコントで469点の高得点を獲得。この波に続くかと思われたが、ななまがりの初瀬悠太と森下直人は〝夜の山道に迷った男がとぼけた妖怪たちと遭遇するも、パターンを把握し始めてグダグダになるコント〟で459点と失速。すると、今度はビスケットブラザーズのきんと原田泰雅が、〝高級旅館の風変わりな女将(おかみ)や突如消える案内役など奇抜な面々に翻弄(ほんろう)される客〟を描いた漫才で464点を出し、持ち直す。最後は唯一のピン芸人ユニット、今夜も星が綺麗の三福エンターテイメントとヒロ・オクムラが〝怪しげなタクシー運転手に振り回される客〟を演じる漫才を披露するも、453点の最下位に沈む。この時点で、トップの滝音を2位のダンビラムーチョ、3位の蛙亭、4位のビスケットブラザーズ、5位のドンデコルテが追う形となった。ドンデコルテ、5位から大逆襲いよいよ最終決戦。最初に登場したのは、もっとも順位の低いドンデコルテ。もちろん2本目は漫才で臨む。渡辺が、意中の相手とうまく会話するには「相手の話が7割、自分の話は3割」の法則があると流暢(りゅうちょう)に語る。しかしその直後、自身が興味を持つマンモスや田沼意次といった話は「3割でも多過ぎる」と言い、チャーハンの話題でさえ御託を並べてみせ小橋をげんなりさせる。そんな中、小橋が「男が好きなものの話を力説してるのが、女子にはかわいい」らしいとフォローを入れるも、「あくまでも好きな男が力説するからかわいい」「好きでもない40の男がマンモスの話を力説したら、それはもう放送大学」と、最後まで渡辺が持論を展開するネタだ。これが、大会史上最高得点の482点をたたき出す。審査員の千原ジュニアは「放送大学」を口にするまでのテンポと間を「めちゃくちゃええな、あれ」と絶賛。合計943点の高得点をマークし、暫定1位の席に座る。続くビスケットブラザーズは、帰宅の遅くなった少年(きん)がパンイチ(パンツ一丁)姿の怪しげな男(原田)に「夜道は危険」「お兄ちゃん」「愛してるよ」などと声を掛けられ、自宅に戻ると母親から弟ができたことを告げられる〝アホなショートショート〟とも言うべきコントを披露した。彼ららしい世界観を発揮したが、いま一つ点数は伸びず468点。合計932点でドンデコルテに敗れる。次の蛙亭は、妻の「仕事と私、どっちが大事?」との問いにどう返答するべきかわからないという中野の相談を受け、イワクラがあの手この手で妻を丸め込む夫を演じたうえ、「これはイケメン用」と落とす漫才。そして、ダンビラムーチョは、大原がポルノグラフィティの楽曲に乗せて五十音を言い切ろうと奮闘する漫才で勝負に出る。結果は、蛙亭が469点(合計点938点)、ダンビラムーチョが467点(合計点937点)。いずれも、ドンデコルテの943点にあと一歩及ばず。最後はファーストステージトップ通過の滝音だ。取調室でポリグラフ検査(通称、うそ発見器)を受ける寿司(すし)店の大将(さすけ)。捜査官(秋定)が事件にまつわる尋問を行うも、全く反応しない。しかし、本職であるはずの寿司について語った途端に機器が反応し、最後はなぜか自白を始めて「ピーッ」と鳴り続けたままフェードアウトしていくコントだった。役どころの問題だろうが、コントでは秋定がツッコミ、さすけがボケ。役回りが逆転している点でも漫才との違いを見せた。得点は476点(合計点951点)。ドンデコルテに8点差をつけ、滝音が見事2代目王者の座を射止めた。〝二刀流〟というコンセプトの宿命今大会より始まった脱落システムは、開催前から「全組がネタ2本で審査されないのはおかしい」など批判の声もあった。ただ、ふたを開ければ大会が見やすくなっただけでなく、5位のドンデコルテがまくりにまくり、最後の2組まで残るドラマチックな展開を作った。5組という絶妙なラインが、「もしや、このまま優勝……?」というリアリティーを生み出したと考えられる。加えて、1本目で上位5組に入るネタを用意する必要があるため、自然と出場者の間で心理戦が展開される。結果、漫才とコントは程よく分散し、二刀流の大会らしいランダムなネタ順になった。こうした点で、非常にバランスの取れたシステムだったように思う。一方、単発で高得点を出そうが勝ち切れないことも露呈した。前回も「コント:475点」「漫才:474点」でニッポンの社長が優勝しており、見方によっては「中庸なネタ」が評価されやすいと捉えることもできる。ただ、この件については、〝二刀流〟というコンセプトを選択したことの宿命だと感じてならない。例えば今月、同じ日本テレビで9年続いた「女芸人No.1決定戦 THE W」を開催しないことが発表された。絶対数の少ない女性芸人にスポットを当て、実際に優勝した3時のヒロインや吉住、オダウエダらは、この大会をきっかけに知名度を上げた。その点で意義深い賞レースだったが、多くの視聴者が興味を持つようなコンセプトが見えなかった。女性の大会であること以外に、もっとも重要な「何の面白さを競うのか」「どんなスターを生み出したいのか」といった方針がいまいち伝わってこなかったのだ。筆者は、ある著名人から「野球っていい企画だよ」という言葉を聞いてハッとしたことがある。たしかに昔から基本的なルールは変わらないが、数年に一度は必ずスター選手が現れ、見る者を熱狂させる。企画に置き換えれば、これほど鉄壁のフォーマットはない。サッカー、バレー、バスケットなど、そのほかの人気スポーツもそうだろう。一貫したルールの中で、名シーンは生まれ続けている。ただ、「水泳」「自転車のロードレース」「長距離走」の3種目で競うトライアスロンのような複合型のスポーツになると、熱心なファンはいるものの一般層に広く浸透しにくい。「ダブルインパクト」は、それと似た本質を持っている。「M-1グランプリ」や「キングオブコント」と同じ土俵に立つのではなく、今回示した〝夏のお笑いフェス〟という独自の立ち位置こそ、この大会の最大の武器になるはずだ。ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel







