【社説】国が日本語学習プログラム創設 選別でなく共生のために2026年7月27日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●法務省は、外国人が日本語や生活上のルールを学べるプログラムを創設する●学習支援に取り組む自治体の負担が高まるなか、国が乗り出す意義は大きい●一方、新たな選別にならないか、同化を強いるものにならないか、配慮や注意が必要だ

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来日して言葉の壁に悩む人たちへの朗報となるよう、実現を急ぎたい政策だ。国内では外国人は過去最多の410万人が生活し、少子高齢化が進む地域社会に欠かせない存在となっている。誰もが安心して受講できる仕組みづくりを進めなければならない。 法務省は、中長期の在留者を対象に、基礎的な日本語や生活上のルールを学べるプログラムの創設に向けた報告書を公表した。入国前からもオンラインで学べるようにし、入国後も出産や育児、教育、介護といったライフステージにあわせて学習内容を選べるようにすべきだとした。 政府は2028年度の試行に向け、具体的な制度設計を進めるためのワーキンググループを設置した。 これまでは自治体が中心となって学習支援に取り組んできた。だが、外国人の住民が多く集まる自治体の負担増が年々、課題となっていた。 文部科学省の調査では、外国人が通える日本語教室がない「空白地域」が24年に全自治体の38%を占めていた。空白地域に住む外国人は17万人にのぼり、前の年から2割増えていたことも踏まえれば、国が責任を持って学習機会を保障し、体系的なプログラムを提供する意義は大きい。 参考になるのは、定住外国人に数百時間規模の言語・社会統合教育を公的支援のもと提供するドイツや韓国の事例だろう。日本でも公費で受講できるあり方が望ましい。 気になるのは、永住許可や通算10年を超える長期滞在の許可について、受講を要件にする方向で検討すべきだとした点だ。永住許可や帰化の審査では、理解度を確認する仕組みも必要だとした。ただ、仕事や家族のケアで学習機会を十分確保できない人もいるだろう。安心して日本で暮らせるようにするための施策を、新たな選別の手続きにしないよう配慮は欠かせない。 また、多文化共生よりも日本への同化を強いるようなプログラムにならないかも注意が必要だ。生活習慣や伝統、価値観を教育することが強調されれば、出身の国・地域の文化や伝統を捨てさせることにつながりかねない。 報告書はプログラムの目的を、外国人に「責任ある社会の一員」としての行動を促すためとする。責任ある社会の一員としての行動は、迎え入れる側にも等しく求められるはずだ。 街の中や行政手続きの場で多言語による対応は行き届いているか。地域で生きる仲間として互いを尊重できているか。常に点検し、前に進める契機にもしていきたい。外国人の日本語・生活学習プログラム、永住許可の要件に 入管庁方針「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする