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突然ですが、朝日新聞の人気連載「マイ走馬灯」をご存じですか。「マイブーム」「ゆるキャラ」などの流行語の仕掛け人で、イラスト、小説など幅広く活動するみうらじゅんさん(68)が、自筆の絵とエッセーで織りなす味わい深い連載です。 人生を通してマイブームなモノたちを収集してきたみうらさん。コロナ禍で、それらを描き込んだ「コロナ画」の制作に着手しました。既に100点を超えていたこれらの絵を「僕が死ぬ前に見るだろう『マイ走馬灯予想画』」と定義し、2023年4月に土曜朝刊別刷りbeで連載をスタート。26年4月からは日曜朝刊beの隔週掲載となり、7月26日付で150回を迎えました。制作と執筆は現在も続いています。 F10号のキャンバスにアクリル絵の具を使って描かれるのは、古今東西の様々な仏像や寺院、昭和、平成のテレビ番組、流行歌、洋楽、国内外の有名無名の映画、「ゴジラ」や「ウルトラマン」の怪獣、日本各地の祭りや景勝地、お土産などなど。そこへさらに幼少期、青春期に始まり、「老いるショック」と向き合い「アウト老(ロー)」として生きる現在までの出来事、思い出が織り交ぜられていきます。1枚の絵ごとに完結する読み切り型なので、連載自体がいわば、みうらさんの脳内を映し出したコラージュ作品の〝スライドショー〟と言えるのかも知れません。 昭和、平成の流行を一つ一つ思い出してノスタルジーに浸るのもよし。「なぜこの人物とこの生き物が一緒に描かれているのか」などと自由に考察するもよし。連載イッキ読みはこちらのリンクから 「みうらじゅん マイ走馬灯」 この記事では150回を記念して「人魚」にまつわるあれこれが登場する、ビギナーにお薦めしたい計5回を選んでご紹介します。忘れていたけど思い出した。そういえば前から気になっていた。知らなかった、初めて知った。だから調べてみよう、家の中を探してみよう、誰かと話してみよう、行ってみよう、聴いてみよう、見てみよう……。そんな発見や気付き、ポジティブな気持ちを呼び起こしてくれる「マイ走馬灯」を、ぜひあらためて第1回から読み返してみてください。「高砂人形と出火吐暴威」 2025年10月25日付 右は『ウルトラセブン』に登場したビラ星人で、その下は映画『ウイラード』の続編『ベン』より、賢いネズミ。砂浜に落ちているのは“イチジク浣腸(カンチョー)”。漂流物なのか、昭和時代の海ではよく見掛けたもんだ。 正面、二体の瀬戸物像は“高砂人形”(左が翁で、右が嫗〈おうな〉)。婚礼や長寿祝いなどの贈答品とされるが、とりわけこの翁&嫗はど派手な衣装を身に纏(まと)っている。ロックで言えば、まさしく1970年代に流行したグラムロック、そのファッションセンスである。 上は、グラム期のデビッド・ボウイさん。来日のステージで山本寛斎さんが手掛けたファッションで登場し観客の度肝を抜いた。後にレディー・ガガさんが追悼の意味を込め、グラミー賞授賞式でこれと同じく“出火吐暴威(デビドボウイ)”という漢字をあしらったマントを身につけ登場されていた。 松の木(高砂界の名称は「相生の松」)、その下には、しまね海洋館アクアスで見たヒトデと、ナマコ。そして、世界三大ガッカリ名所のひとつ、コペンハーゲンの人魚像。実際に見たことはないが思いの外、小さいらしい。「たそがれ人魚がマイブーム」 2025年11月1日付 このところ“人魚”がマイブーム。正確に言えば、やたら人魚像にグッとくるようになったのである。左端は、横浜・海岸通り沿いにあるレストラン『スカンディヤ』の店前にいる人魚像。あのコペンハーゲンの人魚像をさらに縮小、模したものらしい。その下は、ジュゴン(琉球郵便の切手には“にんぎょ”との表示もあり)。右は、東京都北区の飛鳥山公園内にいる人魚像。その横で髪を掻(か)き上げてる人魚像は、渋谷の西武百貨店A館脇のもの。右は、北新宿の人魚像。そのアンニュイな表情から、目の前に流れる“神田川”沿いの下宿屋で同棲(どうせい)してた過去があると勝手に推理した。 左下は、千葉の『アンデルセン公園』の人魚像。モデルは童話『人魚姫』なのか? 右は福井県小浜(八百比丘尼〈びくに〉伝説の地)の人魚像。その右は富山県・岩瀬運河沿いにいる人魚像。 右下は、オオサンショウウオを模した貯金箱(腹部分にコインを入れるスリット有)で、その上はニホンアシカ(剥製〈はくせい〉)と、リュウグウノツカイ。どれも日本に於(お)ける人魚のルーツ説があるという。「銚子マリーナ、共同発明、ダダ」 2026年2月28日付 この風景は、千葉県の銚子マリーナ内のとある敷地。この人魚像(中央)が見たくて遠出した。 銚子駅からバスという手もあったけど、土地勘が全くないのでタクシーに乗った。「銚子マリーナの人魚像がある所までお願いします」と告げると、運転手さんはポカン。人魚像の存在を知らない様子だった。タクシー会社に問い合わせて貰(もら)い、ようやく現場に辿(たど)り着いたのだが、一旦(いったん)、車を降り数カット撮影し、すぐタクシーに戻り「銚子駅へ」と告げたものでまたも運転手さんは怪訝(けげん)な顔をした。そんな思い出の人魚像(よく見て、尾鰭〈おひれ〉があるでしょ)。右端は、数年前に購入したヨギボーに寝そべる僕で、左隣は那須どうぶつ王国で見たオットセイ。 人魚像の台に乗っているのは、ルネ・マグリットの絵画『共同発明』、そこに描かれた上半身と下半身が逆転した人魚のフィギュアだ。その上は、小樽市の『天狗(てんぐ)の館』にも展示してある僕の“テングー”フィギュア。左横は『ウルトラマン』に登場した三面怪人ダダで、左下は東大寺戒壇堂で広目天に踏み付けられてるイイ顔邪鬼である。「イワシ、ミザリー、内藤ルネ」 2026年3月14日付 画面中央、海の中を覗(のぞ)き込むようにしているのは映画『シャイニング』より、ジャック・ニコルソンさんと、フィギュ和“大国主命”、そして映画『ミザリー』より、キャシー・ベイツさん。どちらの映画もスティーブン・キングさんの原作である。 その縁を勢い良く旋回してるのは、イワシの群れ。昔はよく、「群れちゃイカン!」などと言われたもんだけど、イワシ同様、人間にもそんな習性があったりして。四方を囲む邪鬼像は、奈良・法隆寺金堂のもの。右上が広目天に、右下は持国天、左上は増長天、左下が多聞天に踏まれてる邪鬼。たぶん、大学入学共通テストには出ないとは思うが一応。 右のプリティ人魚像は、イラストレーター・内藤ルネさん作の陶器。いつぞや伊豆修善寺の『内藤ルネ人形美術館』で御本人にお会いしたことがある。右下はアシカ、その上には怪獣グビラ。左上は、新潟県の『上越市立水族博物館 うみがたり』の“ガブっとコブダイ”というヌイグルミ。左下は、映画『007/サンダーボール作戦』に出てくる水中スクーターだ。「氷上の妖精と太陽の塔」 2026年3月28日付 僕のキャラ“カエル”の足に巻き付いているのは、もちろんゴムヘビ。安心して欲しい。 右上から出てる緑の線は上手(うま)く描けなかったオーロラ。許して欲しい。下のアザラシとペンギンは、ファミコンゲーム『けっきょく南極大冒険』。ゲーム中のBGMは「スケーターズ・ワルツ」だった。右下は、伊勢シーパラダイス(前は“二見シーパラダイス”)の、あっかんべーをするミナミゾウアザラシ、その顔ハメ看板。顔を出しているのは中学生の頃の僕。その左隣は、新潟県『鵜(う)の浜人魚館』(温泉とプール)の前にいた人魚像。雪でその姿が隠れていたので必死に取り除き、撮影。イルカ像も脇にいた。 その真上は“氷上の妖精”ことジャネット・リンさん。左隣は、岡本太郎さんの『太陽の塔』。その横は、映画『黒いジャガー』より、リチャード・ラウンドトゥリーさん。左端は『ウルトラセブン』の怪獣、エレキング。下は、富山県の朝日山公園にいる銅像“ブリ小僧”。左下は、シングルレコード『くやしいけれど幸せよ』のジャケ写より、奥村チヨさんである。