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7月26日は土用の丑(うし)の日です。ウナギと言えば、記者には忘れられない思い出があります。大阪で働いていた2年前の夏の夜、会社の目の前の川で釣り糸を垂らしたおじいさんと出会いました。オフィス街のど真ん中で一体何が釣れるの……?話しかけると、おじいさんが見せてくれたのは、まさかのウナギ。なぜあんなところにいるのか、研究者に聞きました。(朝日新聞withnews・川村さくら)大阪屈指のオフィス街「中之島」大阪駅から南に10分ほど歩いたエリア・中之島は大阪屈指のオフィス街で、大阪市役所や日本銀行大阪支店があるほか、関西電力をはじめ民間企業も多く拠点を構えています。名前の通り、北は堂島川、南は土佐堀川という二つの川に挟まれた土地です。記者がおじいさんに出会ったのは、2024年7月、大阪最大の祭りのひとつ「天神祭」のクライマックス「本宮」の日でした。「何が釣れるんですか?」「見るか?」仕事があって祭りには行けず、午後9時過ぎに中之島にある会社のビルを出ました。堂島川沿いを歩き出してすぐ、おじいさんの姿が目に飛び込んできました。「ここで釣り?」と不思議に思い、すぐさま話しかけました。「何が釣れるんですか?」と聞くと、「見るか?」と言っておじいさんが川から引き上げた網の中にはぬるっと表面が光るウナギがいました。ミミズでウナギを釣る「こんなところでウナギが釣れるんですか!?」驚く記者に、おじいさんは、自転車で来る途中に公園で捕まえたミミズをエサにしていることや、釣ったウナギは魚屋に売っていることなどを教えてくれました。公園のミミズでウナギを釣る……。ことわざみたいになってきました。当時、川向こうでは高級ホテル「フォーシーズンズ」が開業間近。地上49階建ての高層ビルを背景に、手前ではおじいさんがウナギを釣っている……。その不似合いさがやけに記憶に残りました。「昔からでっかいウナギがいる」翌日、「そもそもあそこで釣りをしていいのか?」という疑問が浮かびました。堂島川周辺の緑道を含む公園を管轄する大阪市建設局の扇町公園事務所に電話で聞きました。すると、担当者は「例えば公園の池で管理されているニシキゴイを釣ってたらだめやけど、堂島川には漁業権もないし、野生生物には誰の所有権はないです」「他の人に危害や迷惑をかけない範囲なら、釣りを一律禁止する決まりはないです。ただし、体長20センチ以下のウナギは、大阪府の規則で捕獲が禁止されているので注意が必要です」とのこと。「あの辺は昔からでっかいウナギがいるんですよ。今は再整備工事で盛り土してるからそんなことはないけど、再整備の前は大雨が降ると、中之島公園のバラ園にまでウナギがビチャビチャ上がってきたことがあります。近所の人が釣って食べてて、泥抜きしなかったから腹を壊したという話もよく聞きました」あんなところにウナギ、なぜ?続いて浮かぶ疑問は「なぜあんなところにウナギがいるのか?」ということ。近年は国産ウナギの減少のニュースもよく耳にしますが、オフィス街の川にもウナギは生息しているものなのでしょうか。大阪府立環境農林水産総合研究所の主任研究員として、大阪市内の河川の魚類などを研究してきた山本義彦さんに聞きました。道頓堀川にもいる「みなさん意外とご存じないんですが、都会のど真ん中にもウナギはいるものなんですよ。大阪市内の河川であれば、広い範囲でウナギが釣れます。大阪のウナギは江戸時代につくられた落語にも登場するんです」山本さんが以前所属していた生物多様性センターは、2022年、道頓堀川でニホンウナギ11匹を捕獲しました。MBS(毎日放送)の番組とコラボしてアイドルグループ「Aぇ!group」とともに捕獲を行いました。江戸時代の落語にも登場阪神ファンが飛び込めばおなかを壊す、とも聞く道頓堀川。そんな水質でウナギは生きられるものなのでしょうか。「人間は大腸菌にやられちゃうんですが、魚には影響ないですし、ウナギはきれいな水も好きですが、濁ったところも好みます」「高度経済成長期には下水道の未整備や工場排水で水中の酸素が不足してウナギは減ったと思われますが、いまは状況が変わって、ウナギが十分暮らせる環境になっています」「ウナギは泥から生まれる」?ウナギは海でしか繁殖しないそうで、日本周辺に生息しているウナギはみな太平洋のマリアナ海嶺で生まれたものだといいます。河川では産卵の様子や稚魚は目撃されず、成体だけが確認されるため、古代ギリシャのアリストテレスは著書「動物誌」に「ウナギは泥の中から自然発生する」と記しています。ニホンウナギは絶滅危惧種ニホンウナギ全体の個体数は減っていると考えられており、国際自然保護連合が「危機」、環境省のレッドリストは「絶滅危惧IB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高い)」と、いずれも上から2番目のランクに区分しています。大阪の河川での捕獲は問題ないのでしょうか。「ウナギは昔めちゃくちゃたくさんいたのが相対的にいま減っている状況です。個人の方がちょっと釣るくらいには問題ありません」「問題なのは、稚魚であるシラスウナギの国際的な乱獲です。養殖のために乱獲が起きていて、国は養殖池に入れるシラスウナギの量などを規制しています」また、水産流通適正化法により、2025年からは取引記録の作成や保存などが義務づけられています。「ただ遊覧船が走る場所ではない」道頓堀川での捕獲を発表した際には、反響の大きさに驚いたという山本さん。「道頓堀川には他にもボラ、マハゼ、クロダイなど、海水と真水が混ざった汽水域で生きられる生き物がたくさん暮らしています」「人間が来る前からウナギはいます。ただ遊覧船が走る場所ではなく、生き物も人間も生き、楽しむ場所なんです」【豊かな大阪湾をつなぐシンポジウム~今こそ知りたい魚庭の海づくり~】※山本さんが司会、会場には道頓堀川のウナギも展示予定日時:2026年8月5日場所:海遊館ホール定員:200人(中高大学生100人、一般100人)申し込み先着順https://www.knsk-osaka.jp/suisan/info/doc/rieafo_symposium20260805/ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel






