谷口稜曄さんの半生、朗読と音楽で伝える 阿川佐和子さんらが出演棚橋咲月印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

[PR]

81年前に米軍が長崎に投下した原爆で焼けただれた赤い背中を見せながら、核兵器廃絶を訴えた被爆者の谷口稜曄(すみてる)さん(2017年死去)。その体験や思いを朗読と音楽で伝えるつどいが8月9日、東京都中央区の浜離宮朝日ホールで開かれる。 谷口さんは16歳の時、自転車で郵便配達中、爆心地から北に約1・8キロの路上で被爆し、熱線で背中一面を焼かれた。今回の集いでは、英国人作家の故ピーター・タウンゼント氏が谷口さんに取材し、1984年にまとめたノンフィクション「ナガサキの郵便配達(原題:THE POSTMAN OF NAGASAKI)」を朗読する。 集いを主催する「ナガサキの郵便配達制作プロジェクト」代表の斎藤芳弘さん(79)は、2018年にこの本の英語版を邦訳して出版した。過去に短縮版だった仏語版をもとに邦訳されたことはあったが、絶版に。「完全版」の邦訳は谷口さんの願いだった。 完成を見届けることなく、谷口さんは旅立った。《私は忘却を恐れます――。》生前の言葉に応えるかのように、斎藤さんは3年後の21年、朗読会を始めた。 核の脅威が高まる一方、核兵器廃絶の訴えに否定的な反応もないわけではない。戦後国是とされてきた非核三原則の見直しまでが政府内で議論されている。 斎藤さんは「ナガサキの郵便配達」を「『平和の教科書』に」と考えている。思い起こすのは本の終盤の一節だ。 《原子爆弾がどんなにひどく僕らの体を傷つけ焼き焦がしたか、他の人みんなに知ってもらうために、話を聞いてもらいたい》 《それは僕らだけが、原子爆弾にやられることがどんなに恐ろしいかをみんなに話すことができるからなのさ》 8月9日午後1時半開演。浜離宮朝日ホール(小ホール)。一般6千円、高校生以下2500円(税込み)。阿川佐和子さんほか俳優による朗読のほか、ピアノとクラシックギターによる演奏がある。申し込みはチケットぴあ(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2615340)から。「体験をどうつなぐのか」 出演者の阿川佐和子さんが、朗読に臨む思いを語った。 ◇ 父(作家の阿川弘之さん)は広島出身です。母方の祖父の建築家・増田清は、広島で大正屋呉服店(現・広島市レストハウス)を設計しました。大人になるまで知らなかったんですけどね。 私は東京生まれですが、満州から復員した伯父と伯母に可愛がられ、広島には故郷のようにしょっちゅう遊びに行っていました。子どもの頃に見た原爆ドーム、あれは怖かった。 被爆した人たちにも随分会いました。 父の母親は、川遊びをしてい…この記事は有料記事です。残り664文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません