「真珠の耳飾りの少女」の見どころは? フェルメールの大ファンの福岡伸一さんが解説(朝日放送テレビ)
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大阪中之島美術館(大阪市北区)で8月21日~9月27日に開かれる「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」。フェルメール代表作の「真珠の耳飾りの少女」と初期の作品「ディアナとニンフたち」が公開される。 現存するフェルメールの作品をほぼ全て鑑賞し、フェルメールに関する複数の著作がある分子生物学者の福岡伸一さんに、フェルメール作品の魅力について語ってもらった。(朝日放送テレビ・井岡諒)近代科学発展の時代 世界を理解しようとしたフェルメール ――フェルメール作品との出会いは。 20代後半で若手研究者としてニューヨークに留学していた頃に、個人美術館で「兵士と笑う女」や「稽古(けいこ)の中断」を見ました。ゴッホやピカソのように自己主張が強い絵ではなく、写真家のように客観的な一瞬を捉えようとしていると感じ、科学者として共感を覚えました。 ――フェルメールの作品はどれくらい見ましたか。 私は37点がフェルメールの現存する作品だと考えています。世界中の美術館に散らばる作品のうち、36点を現地の美術館で見ることができました。ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館が所蔵していた「合奏」という作品だけは、30年以上前に盗難に遭い、今も行方不明なので見ることができておらず、非常に心残りです。 ――今回の「フェルメール展」で公開される「ディアナとニンフたち」の見どころは。 フェルメールが画家としての出発点で描いた作品ですが、服のドレープ(ひだ)などは細部まで非常に上手に描かれていて、画家としての才能の輝きを予感することができます。30代半ばの円熟期に描いた「真珠の耳飾りの少女」と見比べてみるのは非常に興味深いことだと思います。 ――フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」も公開されます。 「真珠の耳飾りの少女」には、絵画によって、この世界の一瞬を止めたいというフェルメールの思いが込められていると考えています。この絵が描かれた17世紀は、ヨーロッパで近代科学が芽生えた時代でもあります。ガリレオは望遠鏡による天体観測、ニュートンやライプニッツは微分の研究を通じて、移ろいゆく世界を理解しようとしていました。 「真珠の耳飾りの少女」も、少女がゆっくりと振り返る動きの一瞬を写真のように捉えています。少女の左側は明るい光に照らされ、右側は暗い影に沈んでいますが、これは地球の半分が太陽に照らされ、もう半分が夜になっているのと似ていると思います。 ――ターバンの青はフェルメール・ブルーと呼ばれています。 空や海、遠くの山など自然界に青色はいくらでもありますが、その青色は取り出すことができません。空気をいくら集めても、水をすくっても青くはなりません。鮮やかな青を描き出すことは芸術家にとって一つのチャレンジでした。 ターバンの青はラピスラズリという鉱物を使って描かれていて、退色することなく350年前の輝きを現代に伝えてくれています。当時、オランダは東インド会社などの貿易によって、アジア圏から様々な文物を取り入れており、ラピスラズリもアフガニスタンで採掘されていました。17世紀のオランダの文化をフェルメールの絵も反映しているわけです。 ◇ フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 オランダの画家ヨハネス・フェルメール(1632~75)の代表作を始め、数々の名品を展示。8月21~9月27日、大阪中之島美術館5階展示室。会期中無休。詳細は展覧会公式サイト(https://vermeer2026.exhibit.jp/)で。フェルメールと交友があった? 科学者レーウェンフック【名画のウラ側に…!?】フェルメールともう一人の天才 微生物を発見した科学者との意外な関係 分子生物学者の福岡伸一さんが考察(朝日放送テレビ)「光の魔術師」と呼ばれるフェルメール。 「牛乳を注ぐ女」や「手紙を書く女」など、外光が差し込む静かな部屋に、女性がたたずむ情景を描いた作品を数多く残している。 繊細な光の表現が際立つこれらの作品。制作にあたっては、フェルメールがカメラ・オブスクーラと呼ばれる箱形の光学機器を使っていた可能性が研究者らによって指摘されている。現在のカメラの原型となったこの機器を使うと、ピンホールの原理で目の前の情景を投影し、ありのままに描くことができた。 側面のレンズを通して投影される情景は一眼レフで撮った写真のように、焦点が合っている箇所はくっきりと、それ以外はぼんやりと映し出された。フェルメールはそんな微妙な光の加減を作品で表現している。 一方で、フェルメールが活躍した17世紀のオランダ・デルフトにはレンズを使って科学史に残る大発見をした人物がいた。 アントニ・レーウェンフック。 史上初めて、顕微鏡を使って微生物を発見した科学者だ。フェルメールと同じ年に生まれ、洗礼の日付は4日しか離れていなかった。 織物商人だったレーウェンフックにとって、生地の品質を調べるために使う拡大鏡は商売道具だった。本業の傍らで、極小のレンズをはめ込んだ顕微鏡を自作し、身の回りのものを観察することにのめりこんでいく。 「水の中の生き物は縦横無尽…






