ストーリー「ミラクルだ」松坂桃李さんとコラボの絵本作家、五味太郎さんと競演2026年7月16日 7時00分伊東聖印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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広島県呉市出身の絵本作家、長田真作さん(36)のデビュー10周年記念の作品展が、7月20日から市内で開かれる。師と慕う五味太郎さん(80)の作品展も同時期に市内である。五味さんのトークショーにも参加する予定の長田さんは、古里での「競演」を「すごいミラクル」と心待ちにしている。 長田さんは、県内の高校を卒業後、上京。障害のある子の学童保育で働いた。そこでひとりの子どもが集中して見ていたのが、五味さんの絵本だった。五味さんのことは全く知らなかったが「どんな魅力があるのか」と気になり、エッセーを読んだ。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いに「何だ、この人は」と衝撃を受けた。 すぐに「直接、話が聴きたい」とメールを出した。五味さんは面白がって自宅に招いてくれた。2人で世の中の出来事などについて何時間も話した。五味さんに対し「自分という個がまずあって社会のことはその後という人だ」と感じた。「五味さんて僕に似てますよね」。思わず言うと「逆だろ。お前が俺に似てるんだろ」と突っ込まれた。すっかり打ち解けた。 ちょうど五味さんは引っ越しを控えていた。手伝うことになり、原画の整理や分類、画材の移動などを担った。巨匠の絵を見て「僕だったらどんなのが描けるだろう。チャレンジしたい」と思った。筆をとると、どんどん描けた。出版社に持ち込むと、あれよあれよという間にデビューが決まった。本の帯は五味さんが書いてくれた。付き合いは続き、今も毎週のようにテニスをする仲だ。 長田さんは、40冊以上の絵本を刊行。一部は海外でも翻訳・出版されている。俳優の松坂桃李さんとのコラボ作品や、漫画「ONE(ワン) PIECE(ピース)」を大人向けに描いたピクチャーブックを手がけたほか、映像作品などにも携わっている。2025年12月には420ページに及ぶ超長編絵本「影のような者たち」(求龍堂)を出した。 「机の前に座っているだけで、発想が浮かんでくる」と長田さんは言う。常に意識しているのは、あまたいる絵本作家の中でも五味さんだけだ。「とにかく、五味さんを驚かせたいし、追い越したい。普段は年の離れた友達という感覚で、絵本作家としては師匠でもあるけど、ライバルという意識が強い」 10周年記念の作品展は昨秋の時点で決まっていた。だが、その半年ほど後、五味さんの作品展も呉で同時期に開かれる、と本人から聞き、驚いた。「何者でもなかった自分が、五味さんと出会えたのが最初のミラクル。デビューから10年して故郷で『競演』できるのも二つ目のミラクル。誰かが仕組んだみたい」と笑う。 五味さんのトークショー(2千円)は7月25日午後2時から、新日本造機ホール(市役所1階)であり、長田さんも登壇して対談する。 長田さんの作品展は20日~8月31日、呉市長迫町のギャラリーLIT(リト)(090・4143・0572、木・金曜と7月25日は休業)で。入場無料。20、26日の午後1時からは公開制作もある。 「五味太郎絵本クロニクル展」は25日~8月23日、呉市幸町の市立美術館(0823・25・2007、火曜休館。8月11日は開館し12日休館)で。一般1500円など。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません