視点・解説芥川賞と直木賞が決定 候補作をすべて紹介「日本社会を俯瞰できる」高津祐典印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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第175回芥川賞・直木賞の選考会が15日午後4時から都内で開かれ、芥川賞は小砂川チトさん(36)の「ゾンビ回収婦」(群像5月号)、直木賞は朝倉かすみさん(65)の「けんぐゎい」(光文社)に決まった。候補作はどれもいま読むべき力作ばかり。書評家の杉江松恋さんに読みどころを語ってもらいました。 芥川賞候補の5作は「すべて読むと、今の現代の日本社会が俯瞰(ふかん)できる」といいます。小砂川チト「ゾンビ回収婦」 現実の世界でリストラに遭い、夫も家から離れてしまった女性が、夫のVRゴーグルを手に仮想世界に入っていく。ゲームには次々とゾンビが現れ、彼女はそれを片付ける「ゾンビ回収婦」になった。支配人に認められたいと、必死に働き始める。 「彼女は会社に尽くす生き方しかできないものだから、仮想世界でも同じようにする。そして仮想世界がもとの世界よりも現実感があるものに思えてくるんです。いま生成AI(人工知能)の使い方が問題になっています。人間らしい生き方とは何かという問いが、ゾンビシューティングゲームのなかで語られていくのがすごく面白い」鈴木涼美「悪い血」 妊娠しているらしいと気づいた女性が、検査のために採血を受ける。彼女は自分を縛る過去を抱えている。性風俗産業との関わりや性的搾取の傷が記憶された「血」を、彼女は病院から取り戻そうとする。 「現代から過去の世界へのスライドの仕方がすごく面白いですね。フラッシュバックというのともちょっと違って、現在と過去が地続きになってるような形。現在と過去がつづれ織りみたいに書かれていく技巧が面白い。女性が性的に搾取されているという小説でもあるので、ジェンダーの問題に関心がある人にも響くと思います」仁科斂「丹心(まごころ)」 建築を教える大学教員のもとに、中国・寧波の廃虚マンションを美術館にするプロジェクトの依頼が舞い込む。大学教員は理想を掲げるものの、現実は居住者の立ち退き交渉に暴力団を使っていたりする。「まごころ」を持っているのは誰なのか――。 「候補作のなかでは一番『社…この記事は有料記事です。残り1900文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
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この記事を書いた人高津祐典文化部次長|文芸・デジタル担当専門・関心分野文芸、囲碁、将棋、麻雀、論壇、ファッション関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






