【社説】米国とイランが武力の応酬 停戦を守り、外交交渉に戻れ2026年7月13日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●ホルムズ海峡の主導権をめぐり、米イランの攻撃の応酬が続いている●6月中旬に署名した覚書で合意したはずの停戦が守られず、交渉が停滞していることを憂慮する●仲介国の外交努力が続く。日本や欧州も緊張緩和へ働きかけを強めたい
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薄氷の停戦が、いまにも崩れかねない。そうなれば、地域や世界経済への影響は甚大だ。当事国は最大限自制し、仲介国をはじめ国際社会は緊張緩和のため外交努力を加速させる必要がある。 ペルシャ湾周辺で、米国とイランが散発的な攻撃の応酬を続けている。民間人にも死傷者が出て、規模が次第に大きくなっている。イランはホルムズ海峡の再封鎖を宣言し、トランプ米大統領は「停戦は終わった」と述べた。憂慮すべき事態だ。 両国は6月中旬に、軍事作戦の終結を宣言する覚書に署名した。武力行使を控え、最終合意を目指して60日を期限に交渉するはずだった。約束は守られず、交渉は仲介国をはさむ間接的な協議が1度行われたに過ぎない。 双方とも本格的な戦争に戻ることは望んでいないように見える。しかし、衝突が続けば戦火の拡大を制御できなくなる恐れもある。外交によって解決を目指す冷静さを取り戻さねばならない。 対立の元は、世界のエネルギー輸送の要所であるホルムズ海峡をめぐる主導権争いだ。イランは自国の管理権を主張し、米国は海峡の開放を求めている。 イランが、許可した以外の航路を通過しようとした民間船舶を攻撃する。米国が対抗措置として、イラン軍の関連施設を爆撃する。イランが湾岸諸国の米軍基地にミサイルなどで報復する。この連鎖が続いている。 ホルムズ海峡では、自由な航行が認められるべきだ。米国とイランが交わした覚書がイランに一定の権利を認めるとも読めることが、事態を複雑にしている。 解釈の違いは話し合いで詰めるのが筋だ。なのに両国とも力に訴える背景には、それぞれが国内に強硬派を抱えていることがある。 米国では、トランプ氏の与党からも「イランに譲歩しすぎだ」との批判が噴き出している。イランでは、米国などによる攻撃で殺害された前最高指導者の葬儀が行われ、反米感情と主戦論が高まる。 後継の最高指導者モジタバ・ハメネイ師は父親の「復讐(ふくしゅう)を誓う」と表明した。トランプ氏は自分が暗殺されたらイランは「全滅するだろう」と述べた。相互不信を深める威嚇は互いに控えるべきだ。 幸い、周辺国による仲介は続いている。カタールの代表団がイランを訪れ、パキスタンの首相もイランの大統領と電話で協議した。日本や欧州も手をこまぬいてはならない。仲介国とも連携し、沈静化の働きかけを強めたい。ホルムズ海峡の支配誇示するイラン、トランプ氏は否定 攻撃応酬続く「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません







