町おこしの一翼担う名物イノブタ 和歌山県畜産試験場に行ってみた2026年7月10日 6時00分松永和彦印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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イノシシと豚を交配させた品種のイノブタ。和歌山県すさみ町は全国でも希少な生産地だ。その存在はパロディー国家「イノブータン王国」が建国されるなど町おこしの一翼を担い、イノブタ肉は町の特産品にもなっている。1970年にイノブタを誕生させたという県畜産試験場を取材させてもらった。 6月下旬、和歌山市から車を走らせた。紀勢道を降りて、海岸沿いの国道42号を進むと、道の駅「イノブータンランド・すさみ」が見えた。太平洋が望める休憩所からの眺めは最高だ。机には、旅で訪れた人が思いを書きつづるノートが何冊も置かれていた。 道の駅からすぐの場所に、県畜産試験場はあった。高品質な畜産物の生産技術開発などに取り組み、イノブタの生産のほかに、ブランド和牛「熊野牛」「紀州和華牛」の改良や飼養管理の研究、霜降り豚肉の開発なども担っている。 専用の衣服や長靴を身につけ、場内にある「くろしお牧場」を見学させてもらった。目の前には、広大な草原が広がっている。受精卵を供給する「供卵牛」数十頭が、餌をもらえると思ったのか、近寄ってきた。 ただ、残念ながらイノブタを見ることはできなかった。4月に3頭いたが、町内の農家へ出荷されたという。そもそも伝染病「豚熱」の防疫のために、豚舎には入れないそうだ。 試験場では、イノブタの「父親」にあたるイノシシ2頭を飼育している。ただ、高齢化に加えて近年の夏の暑さで繁殖力が落ちているという。出荷数は2019年度に95頭だったが、最近は減少傾向で、昨年度は11頭にとどまった。 場長の柏木敏孝さん(60)は「このままでは生産数が頭打ちになってしまう」と危機感を募らせる。これまで繁殖のために野生のイノシシを試験場に入れていたが、近年流行した豚熱の影響で、それができなくなった。「新しい形を模索していかないといけない」。対策の一環として、昨年から町内の農場に「母親」となる豚を有償で提供し、繁殖してもらう取り組みを始めたという。 取材を終え、試験場をあとにした。町内にはイノブタ料理を提供する店が複数ある。試験場から車で10分ほど走った国道42号沿いの道の駅「すさみ」にも様々なメニューが並ぶが、今回は隣の「みき食堂」へ入ってみた。イノブタのラーメンにうどん、焼き肉丼……。メニューから、卵でとじたイノブタ丼を注文した。 取材の4日前にバーベキューでイノシシ肉を食べたが、イノブタ肉はどうか。どんぶりを手に持ち、ありがたくいただく。一口食べると、柔らかくジューシーな甘みが、口の中いっぱいに広がった。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






