2026年7月8日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●関西電力美浜原発3号機で5月に起きたタービン建屋の蒸気漏れは老朽化が原因だった●美浜3号機は2004年にも配管破断による死傷事故を起こした。関電の安全対策が改めて問われる●政府は福島第一原発の事故後に設けた原発運転の「40年ルール」を骨抜きにした。老朽化問題を問い直すべきだ
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運転開始から近く50年となる関西電力美浜原発3号機(福井県)で5月、タービン建屋内で高温高圧の蒸気が漏れる事故が起きた。放射性物質は含まれていなかったが、現場に作業員がいれば惨事になりかねなかった。 2011年の東京電力福島第一原発の事故後、政府は法を改正し「原発の運転は開始から40年まで」「極めて例外的に1回、20年まで延長可」とした。実際には美浜3号機を含め電力会社からの延長申請はすべて認められ、さらに60年超の運転を可能とする制度改変も行われた。政府と電力会社は美浜の事故を個別の事案と片付けず、老朽原発の危うさを考えるべきだ。 関電によると、美浜3号機を運転中だった5月8日、約30分にわたり蒸気が建屋内に漏れた。高圧タービンを覆う金属製のカバーに設けられた金属製キャップに長さ8センチ、幅1センチの穴が開いており、原子炉は手動で停止した。 キャップは1976年12月の運転開始以来、一度も交換していなかった。高温高圧の蒸気にさらされ、約20ミリあった厚みは著しく減っていた。2021年の定期検査では、カバー本体を内側から目視で調べたもののキャップ表面の劣化の兆候を察知できず、厚みの減肉を見逃していた。原子力規制委員会の山中伸介委員長は「思い込みは他の検査でも起きうる」と指摘したが、他の原発も含め老朽原発の点検方法など見直しを急ぐべきではないか。 今回の事故を見過ごせないのは、美浜3号機では過去に同様の事故があったからだ。04年、タービン用の熱水を通す配管の破断による蒸気噴出事故が起き、作業員5人が死亡、6人が重傷を負った。運転開始から約28年間、配管を点検せずに放置していたことが原因で、今回のトラブルと通底する。関電の安全文化と対策が改めて問われる。相次ぐ老朽原発の再稼働 福島の事故後に廃炉が決まった原発を除く33基のうち、「40年ルール」の例外適用が認められた原発は4原発8基にのぼり、老朽原発への依存は今後も増す見通しだ。政府は「原発の最大限活用」へかじを切るなか、60年を超える運転を可能にする法改正を経済産業省主導で進め、独立した立場から安全確保を担うはずの規制委も追随する形でルール変更に応じた。 老朽原発は部品や資材の劣化に加え、設計思想自体が古く安全性に劣る。脱炭素と電力の安定供給という課題に「原発回帰」で対応するのではなく、再生可能エネルギーの拡充を急ぎつつ、古い原発は着実に閉じるべきだ。美浜原発の蒸気漏れ、腐食進行を検査で見落とす 状況の記録もせず「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません







