【社説】消費税減税と財源 高市首相は意見に耳を傾け、撤回を2026年6月30日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの記事のポイント●食料品の消費税減税をめぐり、高市首相が条件にした「野党の協力」は絶望的な状況だ●実施に必要な年5兆円の財源案を示せず、自民党内からも反対の声が出る●首相は、減税へのこだわりを捨てなければならない。政策本来の目的は「中低所得者の負担軽減」のはずだ
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高市早苗首相が、食料品の消費税を減税する条件にしていた「野党の協力」は絶望的な状況だ。必要となる年約5兆円の財源案は示せず、野党も参加する政府の社会保障国民会議は、めざした6月中の中間とりまとめを見送った。足元の自民党からも公然と減税に反対の声が出る。 与野党からの幅広い意見に耳を傾ければ、減税はいったん撤回という結論におのずとたどりつくはずだ。財源とは言えない「財源案」 国民会議の実務者会議では、自民党の小野寺五典税制調査会長が6月17日、唐突に議長案を示した。食料品の消費税率8%を来年4月から2年間、1%とする。残る1%相当分の約6千億円で「所得に連動したきめ細かな給付」を導入する。自民党の公約と政府内の検討をほぼ踏襲する内容で、野党は「与党案を出せばいい」などと強く反発。1週間後の「中間とりまとめ」案もほぼ同じ内容にとどまり、「財源」欄を加筆した修正案は26日に示された。 「特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金・租税特別措置(租特)の見直しや追加的な税外収入」などで確保し、詳細は年末の予算編成の際に「結論を得る」と先送りした。だが、国民会議はこの4カ月、踏み込んだ財源の議論はしていない。野党は「これでは財源とは言えない」「抽象的」などと批判を強める。 消費税は少子高齢化が進む日本の社会保障を支える重要な財源だ。先進国で最悪水準の財政へ市場の目は厳しく、金利も上昇傾向にある。 首相は秋の臨時国会に減税法案を出す意向を示す。財源が見えないまま減税だけ先に決めるのなら、無責任というほかない。 補助金や租特の見直しは、教育無償化などの財源のあてにもされている。ただ、企業の研究開発や設備投資などを後押しする政策だけに、見直しには業界や与党内の強い反発が予想される。自民党内からも次々に異論 自民党内も足並みがそろわない。「(税率を)上げたり下げたりすると社会に混乱をきたす」(大岡敏孝元環境副大臣)、「税制全体で考えなくてはならず、簡単に結論は出ない」(消費税廃止論者の西田昌司参院議員)と党の会合後に異論が出た。河野太郎元外相は「諸外国をみても、税率と同程度に物価が下がった例は少ない」など、本末転倒な政策だとxに投稿。財政規律派として知られる小渕優子元経済産業相は、党税調の幹部職の辞意を伝えた。 首相は、減税へのこだわりを捨てなければならない。政策本来の目的は「中低所得者の負担軽減」のはずだ。消費税「実質ゼロ」の財源確保策、年末に先送りへ 与野党で異論噴出「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






