2026年7月11日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●消費税減税の財源候補である「租税特別措置(租特)」の自己点検結果が公表された●120件のうち、明確な廃止方針は1件。巨費を投じる政策の打ち出しが財源論に先行する●市場は政権の財政運営に懸念を示し、金利は上昇基調にある。財源を政策と一体で示す重要性が高まっている
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高市早苗首相が「悲願」とする食料品の消費税減税で、財源の筆頭候補に挙がる「租税特別措置(租特)」の各省庁による自己点検結果が公表された。企業などへの特例的な減税や優遇制度約120件のうち、明確な廃止方針が示されたのは1件だった。 巨費を投じる政策の打ち出しが先行するなか、財源を生み出す難しさが改めて突きつけられている。財務相「満足のいくものではない」 8日までに公表された国税の約50件と地方税の約70件の租特(全体の減税額は計1兆円規模)を、朝日新聞が集計した。廃止方針の1件は、企業の事業再編にかかる登録免許税の軽減で、そもそも2024年度の制度改正から申請実績がなかった。 使われていない制度を見直したところで、財源にはつながらない。一方、規模の大きい租特は、各省庁が慎重姿勢を崩していない。減収額が3千億円を超える中小企業向けの賃上げ促進税制や、2千億円近い法人税率の中小企業向け優遇などは、経済産業省がより効果を高める「見直し」に言及するにとどまった。 高市政権は昨年11月、租税特別措置・補助金見直し担当室を設置。十分な効果が見込めない租特や補助金、複数年度にわたって支出する基金を対象に作業に着手した。 担当する片山さつき財務相は「満足のいくものではない」と不満を示す。今後、各省庁との協議を本格化させ、1件ずつ洗い直す意向だ。政治的な思惑を排し、政策効果の高い仕組みに作り替えるためにも踏み込んだ検証は必要だが、縮小や削減につながるかは極めて不透明だ。「順番が逆」の大きなリスク 先んじて進むのが、財政拡大の話だ。政権は近く、官民で370兆円超を投資する成長戦略を決める。年約5兆円を必要とする食料品の消費税減税も具体的な財源に踏み込まないまま、首相が近く実施を表明するとみられる。順番が逆ではないか。 兆円単位の財源確保は簡単ではない。旧民主党は、高速道路無料化や子ども手当などを公約に掲げ、政権をとって「事業仕分け」での捻出を試みた。だが、見込んだ額には遠く、実行の断念や規模の縮小に追い込まれた。 金融市場は高市政権の財政運営に懸念を示し、長期金利は上昇基調にある。6月末に公表された経済財政運営の基本方針の原案で、財政規律を緩めた表現も一因となり、足元の金利は3%に迫る30年ぶりの高水準が続く。 財源なき政策は、大きなリスクを伴う。財源を後回しにせず一体で示す重要性は、これまで以上に高まっている。【社説】370兆円投資戦略、総花的で効果見通せず 政府の役割とは「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






