インタビュー第9回「行政の介入で人生破壊も」精神科医が語る成年後見制度の問題点聞き手=編集委員・森下香枝印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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だれもが認知症になりうる時代。成年後見制度は、判断力が低下した高齢者らが安心して暮らせるよう金銭管理などをサポートする制度だ。だが、その運用をめぐって行政と家族らがトラブルになるケースが後を絶たない。その背景や対策について、制度運用に詳しい斎藤正彦医師(精神科、元松沢病院院長)に聞いた。「経済的虐待」と引き離された夫妻――本人や家族に代わって自治体の長が後見開始を申し立てる「首長申し立て」の件数が過去最多となり、同時に家族とのトラブルも相次いでいます。「虐待するかも」中野区が成年後見申し立て 「だまし討ち」怒る娘 そうした事例を見聞きします。私が知っているのは、パーキンソン病の夫と、それを支えていた妻のケースです。2人は月15万~20万円ほどの年金収入で、つつましくも自立して暮らしていました。ところが夫を担当していたケアマネジャーが介護サービスの追加を提案し、妻が「これ以上の介護保険料やサービス費は払えない」と断りました。するとケアマネジャーは「経済的虐待」として区に通報したのです。通報を受けた区は十分な調査もなく「虐待」の嫌疑をかけ、妻から預金通帳を取りあげました。その後、行政は夫に後見人をつけ、夫と妻を引き離しました。 後見人は夫を施設に入れ、生活できなくなった妻も別の施設に送られました。長年連れ添った夫婦は、お互いがどこにいるのかも知らされないまま、引き離されてしまいました。行政の介入が、結果として1組の夫婦の人生を破壊したのです。――首長申し立てとともに、高齢者の虐待通報の件数も増えています。身に覚えがないのに「虐待者」と疑われた家族が、親と引き離されるケースも取材しました。 通報で「虐待者」とレッテルを貼られた家族は、本当に虐待があったのか、あったとすれば何が原因で、どうすれば解消できるのか、弁明や救済の場をほとんど与えられないまま引き離され、死ぬまで会えないという悲惨なケースもあります。 行政からすると、高齢者虐待防止法に基づく「措置入所」で本人を強制的に家族から引き離して施設に入れ、首長申し立てで後見人を立てれば、死ぬまで家族に会わせなかったとしても、それは「本人の自己決定の代理権者」である後見人の判断となり、行政は法的責任を問われません。四半世紀ぶりに今国会で改正された成年後見制度にも問題が山積していると斎藤さんは指摘します。その「死角」とは?■民法上の権利をほぼ奪う「後…この記事は有料記事です。残り2010文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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