【社説】米軍の中距離ミサイル再び国内に なし崩し恒久配備を危ぶむ2026年6月26日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●米軍が共同訓練のため、北京にも届くミサイルシステムを日本に持ち込んだ●抑止力の強化より地域の緊張を高め、日本が攻撃対象となるリスクもある●なし崩しに恒久的な配備に進むことは許されない
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米軍が共同訓練のため、中国内陸部にも届く中距離ミサイルシステム「タイフォン」を、昨年に続き日本に持ち込んだ。今回は、9月の別の訓練に向けて置き続けるという。なし崩しに恒久的な配備に進むことは許されない。 22日から始まった日米などの共同訓練「バリアント・シールド」のため、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地に一時展開された。射程約1600キロの巡航ミサイル「トマホーク」などを発射でき、九州から中国の首都・北京も射程に入る。昨年、初めて持ち込まれたのは米軍岩国基地。今回、自衛隊の基地に対象が広がったことになる。 米国はロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約の下、地上発射型の中距離ミサイル(射程500~5500キロ)を長く保有してこなかった。条約の枠外で2千発近くを持つとされる中国との差は大きく、2019年8月の条約失効を受け、アジア太平洋地域への展開を始めた。 米軍と防衛省は昨年、タイフォンは訓練終了後、1週間程度で撤去すると説明していた。だが、実際には50日以上も留め置かれ、地元の反発を招いた。フィリピンでは24年4月の共同訓練で持ち込んだ後、そのまま配備が続き、事実上の常設態勢と言われる。 これでは「一時展開」との説明を額面通りには受け取れない。なぜ2年連続で、今回は数カ月にわたるのか。将来の恒久配備を視野に入れた地ならしではないのか。政府は明確に説明すべきだ。 日米同盟は日本の安全保障の基軸であり、中国の力による現状変更を許さない抑止力が必要だとしても、米国の戦略と日本の利益が常に一致するわけではない。 米国にとってタイフォンは、中国との大国間競争のなかで劣勢にある中距離ミサイル戦力を補うための装備だ。一方、日本にとって何より重要なのは、自国の安全を守り、中国との偶発的な軍事衝突を回避することである。 北京まで射程に収めるミサイルが日本に展開されれば、中国が警戒を強め、対抗措置を取るのは避けられまい。緊張が高まり、結果として日本をより危険な立場に置く恐れがある。もし中距離ミサイルの応酬が起きれば、直接その被害を受けるのは日本だ。中国から遠く離れた米国とは立場が異なる。 しかも、タイフォンを実際に運用する場合、発射の判断に日本の意思がどこまで反映されるのかわからない。政府には、日本を米中対立の最前線にさせない、外交や安全保障のあり方が求められる。射程1600kmミサイル装置、日米訓練で展開 常設化めぐり懸念も「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません







