【動画】宇野昌磨、本田真凜がアイスダンスに挑戦し、2030年の冬季五輪出場をめざすことを発表した=竹花徹朗撮影
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フィギュアスケートといえば、ジャンプ。テレビのニュースで繰り返し流れるのは、選手が宙を舞い、着氷する瞬間です。けれど、ジャンプしない競技があると聞いたら――。五輪で2度メダルを手にした宇野昌磨さんと、元世界ジュニア女王の本田真凜さんが、「アイスダンス」で競技復帰すると発表しました。恋人同士であると公表している2人が選んだのは、派手な技ではなく、2人が「一体」になることを求められる種目。朝日新聞ポッドキャスト「橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー」で、フィギュア経験者の橋本佳奈記者と山根久美子記者がその意味と難しさを語りました。「ペアとアイスダンスはどう違うの?」というライトファンの素朴な疑問から、日本勢がこの種目で苦戦してきた背景、そして2人の会見に込められた思いまで掘り下げました。※本記事は、ポッドキャスト音源を生成AIで文字起こしし、音声チームと出演者が確認・校正したうえで公開しています。「ジャンプがない」のに、なぜ難しいのか5月22日、宇野昌磨さんと本田真凜さんがアイスダンスでの競技復帰を発表しました。宇野さんは2018年平昌五輪で銀、2022年北京五輪で銅メダルを獲得し、世界選手権も2連覇した日本男子シングルのトップ選手。本田さんは2016年の世界ジュニア選手権を制した実力者です。2人とも現役を退き、プロスケーターとして、アイスショーの世界にいました。そこからもう一度、競技の世界に戻る。しかも、シングルではなくアイスダンスで。アイスダンスは、男女2人で演じるカップル競技です。同じカップル競技の「ペア」と混同されやすいのですが、大きな違いがあります。ペアは、男性が女性を頭上高くリフトしたり、投げ上げて受け止めたりする、アクロバティックな技が特徴。一方のアイスダンスは、社交ダンスから派生した種目で、リフトの高さに制限があり、ジャンプもありません。見分け方について橋本記者はこう話します。「リフトを両手で上にあげていないな、ジャンプしていないな、というのがアイスダンスとペアの簡単な見分けポイントです」。派手さでは見劣りするように聞こえるかもしれません。しかし、その代わりに求められるのは、ステップやターンの緻密(ちみつ)さ、そして2人の完全な一体感。「2人が合わせて滑るのではなく、一体になって滑る」ことが求められるのだといいます。「4回転ジャンプぐらい難しい」技の正体アイスダンスの難しさを象徴する技に「ツイズル」があります。くるくると回転しながら前進するターンの連続で、一見すると地味に映ります。しかし、その実態はまったく別物です。スピンが1点にとどまって遠心力で回るのに対し、ツイズルは片足で体重を前後に細かく移動させながら回り続ける技術。しかもそれを、2人がぶつからないほどの距離で、同じタイミングで行わなければなりません。かつてシングルからアイスダンスに転向した高橋大輔さんは、「ツイズルがこんなに難しいとは思わなかった。4回転ジャンプぐらいの難しさ」と語ったそうです。橋本記者自身もアイスダンスの練習経験があり、「一方向のツイズルはできたけれど、それだけではだめ。内側も外側も、右足も左足も、フォア(前進)とバック(後退)もすべてできないといけない」と実感を語ります。アイスショーでは世界観を見せることが主眼ですが、競技では全ての要素を、最高難度で組み込む必要があります。道具の面でも違いは明白です。アイスダンス用の靴は刃が短く、足首まわりも浅い設計で、慣れるだけでも時間がかかるといいます。「しょまりん」の強みは、ステップにあるでは、なぜこの2人にアイスダンスの適性があるのか。宇野さんも本田さんも、シングル時代からステップの評価が非常に高い選手でした。宇野さんはエッジの使い方が深く、カーブの描き方が美しいと評され、本田さんはスケーティングの滑らかさと表現力に定評がありました。ジャンプのインパクトが強いフィギュアスケートにおいて、足さばきの技術は一般にはなかなか伝わりにくい部分ですが、アイスダンスではまさにその力が問われます。2人はすでに、宇野さんがプロデュースしたアイスショー「Ice Brave(アイスブレイブ)」で息の合ったアイスダンスを披露し、好評を得ていたといいます。ショーでの経験が、競技復帰の下地になっているようです。宇野昌磨、本田真凜の挑戦 アイスダンスを読み解く四つのポイント道を切り開いた先人たち、それでも遠い表彰台日本のアイスダンスは、国際大会で長く苦戦してきました。アイスダンスを取材してきた吉永岳央記者が執筆した記事によると、五輪での最高成績は2006年トリノ大会と2018年平昌大会の15位。2026年ミラノ大会では団体の銀メダル獲得に貢献したものの、個人戦への出場権はつかめませんでした。その流れを変えるきっかけを作ったのが、高橋大輔さんと村元哉中さんの「かなだい」カップルでした。高橋さんは30代半ばでの転向ながら四大陸選手権で銀メダルを獲得し、日本のアイスダンスの注目度を引き上げたといいます。その後もシングルのトップ選手が次々にアイスダンスへ転向。女子で全日本選手権を2度制し、グランプリファイナルで優勝した紀平梨花さんが25年、西山真瑚さんとカップルを組みました。さらに、22年全日本選手権の男子で準優勝を果たした島田高志郎さんと、24年世界ジュニア選手権の女子で5位入賞の実績を誇る櫛田育良さんも誕生。選手層は着実に厚くなりつつあります。それでも、世界の頂点は遠い。全日本選手権の上位カップルとの国内競争を勝ち抜いたうえで、国際大会でも結果を残す必要があります。4年後の五輪を目指すと宣言した2人にとって、時間は決して潤沢ではありません。一体になるということ、その覚悟会見で最も印象的だったのは、宇野さんのこの言葉です。「他の男性とパートナーを組む姿を想像して、隣は絶対に自分がいいと強く思った」。一方の本田さんは、やると決めたらオリンピックをめざすという覚悟を、冷静に、しかし力強く語っていたそうです。宇野がアイスダンス提案、本田の隣は「自分がいい」 4年後の五輪へ対話の中で山根記者が、自分の子どもとピアノの連弾をした経験を重ねる場面がありました。「子どもと一緒に連弾して、この日のために私はピアノをやっていたのかなと思うぐらい幸せだった」。まったく別の世界の話なのに、「2人で何かをやり遂げる喜び」という一点で、不思議とつながって聞こえます。国際舞台での競争の厳しさを知り尽くした2人が、もう一度そこに戻る。しかも今度は、1人ではなく2人で。結果がどうなるかは誰にもわかりません。ただ、「合わせる」のではなく「一体になる」ことを求められるアイスダンスという競技が、2人にどんな景色を見せるのか。その過程そのものが、きっと多くの人の心を動かすのだと思います。テレビでフィギュアスケートのジャンプを見るとき、ふと足元に目を向けてみてください。派手な跳躍の影に隠れてきた「滑り」の美しさに気づいたとき、アイスダンスという種目が、少しだけ近くなるかもしれません。番組紹介「橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー」は、朝日新聞ポッドキャストの番組です。フィギュア経験者の橋本佳奈記者が、スポーツ部の担当記者や、山根久美子記者とともに、専門知識とライトファンの目線を行き来しながら、競技の奥にある物語をほぐしていきます。【もっと色々聴く】ポッドキャスト・橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー番組を振り返って(橋本・山根より)(橋本)私はアイスダンスを練…






