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男女のペアが息の合った演技を見せると、つい「2人の関係」が気になってしまう――。2026年2月のミラノ・コルティナオリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケートペアの三浦璃来さん・木原龍一さん、そして女子シングルで銀メダルの坂本花織さんが、相次いで引退会見を開きました。木原さんの涙、坂本さんのサプライズ。それぞれの会見で印象に残ったのは、選手の言葉だけではありませんでした。朝日新聞ポッドキャスト「橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー」で、フィギュア経験者の橋本佳奈記者と、山根久美子記者が語り合ったのは、「聞かなかった質問」の意味と、ペアという競技の奥深さについてでした。※本記事は、ポッドキャスト音源を生成AIで文字起こしし、音声チームと出演者が確認・校正したうえで公開しています。「3分で泣いた」の先にあったもの4月28日、都内で開かれた三浦璃来さん・木原龍一さんの引退会見。木原さんは冒頭から涙をこらえきれず、隣の三浦さんが「ほら、また泣いてる」と笑う場面もあったそうです。オリンピック期間中、ショートプログラムのあとに木原さんが大泣きしていた姿を覚えている方も多いかもしれません。あの涙は演技の不安からだと思われていました。しかし会見で明かされたのは、すでに引退を決めていたからこそ、練習のたび、マッサージのたびに「これが最後だ」と思いが込み上げていた、という事実でした。橋本記者は「最後の伏線が回収された」と表現します。あの涙は不安定さの表れではなく、覚悟から生まれたものだったのです。「りくちゃんとじゃなければ」という言葉の重み会見でもっとも印象的だったのは、木原さんのこの言葉でした。「2019年にりくちゃんの方から声をかけていただいて、正直声をかけていただかなかったら、僕は引退していた。りくちゃんとじゃなければ僕たちはここまで来られなかった。最高のパートナーに出会えたことに心から感謝します」木原さんは当時、結果が出ずスケートリンクで靴出しの仕事をしていた時期もあったといいます。トライアウトの会場で三浦さんと初めて組んだとき、「雷が落ちた」ようなものがあったと語っています。「龍一、靴を履いてくれ」 雷が落ちて、りくりゅうが結成された日橋本記者はかつてアイスダンスの競技歴がある先生に、試しにリフトを持ち上げてもらった経験があるそうですが、「全然上がらなかった」と笑います。リフトは持ち上げる側だけでなく、上がる側の体幹やタイミングのセンスがなければ成立しないのだそうです。だからこそ、2人が一発で息が合ったというエピソードには、技術を超えた何かがあったのだと感じます。「聞かない」という判断の背景会見では、2人の恋愛関係についての質問は出ませんでしたが、SNS上では「付き合っているのか」ということが話題になっていました。朝日新聞ポッドキャストのリスナーからも「記者が聞かないでくれてよかった」という声が届いていました。その理由として挙げられていたのは、恋愛関係の有無がペア競技を語る前提になるのを防げたのではないか、ということ。そして、「野球でも最優秀バッテリー賞を取ったピッチャーとキャッチャーに『お付き合いしてるんですか』とは聞かないでしょう」ということでした。担当の内田快記者もこう話しています。「ご本人たちがこれまで語ってこなかったということは、あまり話したくないことなのかなと理解していました。恋愛関係についての質問は、場合によっては性的指向に関わる問いにもなりかねず、扱いが慎重なものだと感じています」ペアの選手は、結婚したケースはこれまでありますが、橋本記者は「それを全ての選手に当てはめるのは違う」と話します。採点基準に「カップルらしく見えるか」という項目はなく、問われるのはあくまで同調性や息の合い方。必然的に深い信頼関係が求められますが、それは恋愛とイコールではありません。実際、競技を経て結婚したペアもいれば、そうでない組み合わせもたくさんあります。近年ではパンセクシュアル(相手の性のあり方に関係なく他者にひかれる性的指向)であることを公表した選手もいます。大切なのは、自分から発信したい選手の声を尊重すること。そして、話したくない選手はそっとしておくこと。その線引きは、職場で異性と組んで仕事をしただけで「あの2人、付き合ってるの?」と言われる不快感とも、どこかでつながっているように思えます。りくりゅう、将来はアカデミーも 「ペア大国」へ向けての船出引退を宣言してから、オリンピックへ坂本花織さんの引退会見は5月13日。りくりゅうペアがオリンピック後に引退を発表したのに対し、坂本さんは2025年6月に引退を表明してからシーズンに臨むという、珍しい選択をしていました。坂本花織、最終章は手紙とともに 「便箋に自筆」の真心を込めて舞う宣言してしまえば後には引けません。橋本記者は「宣言したことで自分にプレッシャーをかけて、それで結果を出したのがすごい」と話します。坂本さんはオリンピックで銀メダルを獲得し、その後の世界選手権では優勝。まさに有言実行でした。会見でのムードメーカーぶりも印象的だったようです。質問に答えに詰まると「いい言葉ないですか?」と記者に振ったり、最後には「いつものあれしますから」と報道陣との集合セルフィーを主導したり。そして会見の最後の最後、一般男性との結婚をサプライズで発表しました。内田記者によれば、会見後に残っていた記者を見つけると「私と雑談したかったんやろ」と楽しそうに話しかけてきたそうです。これからの道と、残された問いりくりゅうの2人も坂本さんも、今後は指導者をめざすことを語っています。ただし、フィギュアスケートのコーチになるには、インストラクター協会での研修や段階的な資格取得が必要で、コーチング理論やメンタルサポート、保護者対応まで学ぶ体制が整えられているそうです。2024年時点で登録コーチは約400人。いきなりトップ選手を教えられるわけではなく、長い修業の道があります。会見で印象的だったのは、りくりゅうも坂本さんも「メンタルをケアできるコーチになりたい」と語っていたことです。フィギュアスケートは個人競技であり、コーチとの関係が選手の心に大きく影響します。自身が悩み、乗り越えてきた経験を持つ若い選手だからこそ、次世代に寄り添える指導者になれるのではないか。橋本記者はそう期待を込めます。男女が組むだけで「そういう関係?」と聞きたくなる気持ちは、多くの人が覚えのあるものかもしれません。けれど、聞かないでおくことで守られるものがある。そして、恋愛とは違う深い信頼が、あれほどの演技を生むこともある。その両方を、今回の引退会見は静かに教えてくれていたように思います。ポッドキャストでは、収録中にハンカチを取り出す場面があったり、アイスダンスの失敗談で笑いが起きたり、少しずつ寄り道しながら形になっていきます。その間合いも含めて受け取ると、「聞かない」という選択の意味が、もう少し身近に感じられるかもしれません。番組紹介「橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー」は、朝日新聞ポッドキャストの番組です。フィギュア経験者の橋本佳奈記者が、スポーツ部の担当記者や、山根久美子記者とともに、競技の魅力や選手の素顔、社会とのつながりを語り合います。専門的な話題も素朴な疑問から解きほぐしていく、温かな対話が特徴です。【ポッドキャストで聴く】橋本佳奈のフィギュアスケートストーリー番組を振り返って(橋本・山根より)(橋本)りくりゅう、そして坂…