インタビュー海獣学者×怪獣漫画家 手塚治虫文化賞受賞作から「未知」を解剖する聞き手・平岡春人 黒田健朗印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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今年の手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)で、新生賞を受賞したサイトウマドさんの漫画「怪獣を解剖する」(KADOKAWA)は、海獣学者の田島木綿子さんによるエッセー「海獣学者、クジラを解剖する。 海の哺乳類の死体が教えてくれること」(山と渓谷社)から着想を得て描かれた。サイトウさんは田島さんの著書を通じて、「学者にも分からないことがたくさんある」ことを新鮮に感じたという。著者の2人に、何かを知ることや生き物の描き方について語り合ってもらった。 ――サイトウさんの受賞作は怪獣の上陸が相次ぐ近未来を舞台に、怪獣学者の若き女性の奮闘を描いています。 サイトウ 数年前、田島さんが出演されたラジオ番組から興味を持ち、本を手に取りました。すごく面白くて、今回の漫画のもとになった読み切り作品を描くきっかけになりました。 法医学者のように死因を特定していく面白さ、解剖したクジラのおなかから出たゴミから環境問題が見えてくることなど、かなり影響を受けています。 田島 そうそう、ミステリーを解き明かすのと一緒。面白いよね。 サイトウ そうなんです。しかも犯人がちょっと大きすぎるというか、形の定まらない何かどでかい問題、というのにすごくグッときて。 その後連載となった受賞作で、解剖現場に駆けつける主人公・本多昭のキャラクターも田島さんを参考にしています。日本全国を飛び回り、クジラなどが漂着した海岸に向かうと書かれていますが、本当にどこへでも駆けつけるんですか。 田島 なるべく行くようにしていますね。例えばクジラを標本にするために砂浜に埋めるとき、経験者だからこそ助言できることがある。この前も静岡県で解剖して、翌日にはザトウクジラが打ち上がった北海道に移動しました。 サイトウ 田島さんの本からの影響はたくさんあるのですが、その一つが、学者にも分からないことが多いという点です。私が生まれる前から学者たちは研究しているし、人類は宇宙にも行っているんだから、多くのことは分かっているのではないかと自分が思い込んでいることに気づきました。 ――確かに田島さんの本でも、海の哺乳類が海岸に打ち上げられる理由などは詳しく解明されていないとありました。 田島 まさに「灯台もと暗し」で、身近なことで知らないことが実は多くて、現場に立つほど謙虚になります。多分、自然は私たちに「知られてたまるか」と思っていて、知らないことだらけの私たちを笑っていると思いますよ。 サイトウ 漫画でも、怪獣について登場人物たちが一つひとつ分かるようにしていくけれど、分からないことは多いままという風にしました。 田島 やればやるだけ分からないことだらけになって、どつぼにはまっていくのが研究だと思います。漫画の主人公の「未知を既知に変える」という言葉、いいですね。私も今度から使わせてもらおうかな(笑)。研究者にとっての「フィクション」 サイトウ (かつては陸上で暮らしていた)海の哺乳類が海に戻った理由は、やはり分からないのですか。 田島 進化は突然変異なんで…この記事は有料記事です。残り1150文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人平岡春人文化部専門・関心分野音楽、映画、人権黒田健朗文化部|放送担当専門・関心分野漫画、アニメ、放送関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






