【社説】皇室典範改正、国民の総意かなうよう 男尊女卑は禍根を残す2026年6月22日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●皇室典範改正は要綱案の詰めが残ったが、国民の総意にかなうよう見直すべきだ●男女不平等が投影される「男系男子の養子」案は不適切である●養子は15歳以上というが、本人が事情を理解した上で意思決定できるか疑わしい 衆参両院の正副議長は、政府による皇室典範改正案の骨子を了承した。①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ②皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を可能にし、旧宮家の男系男子を対象にする――が柱だ。細部を詰める必要があるとして、より具体的な要綱案の了承は持ち越されたが、この際、国民の総意にかなうよう、根本から見直す機会ではないか。 骨子は、皇族数確保策についての「立法府の総意」を受けたものだ。だが、とりまとめには全13党派中、参院野党第1党の立憲民主党など6党派が慎重・反対の立場で、「総意」といえるのか極めて疑わしいものだった。 父が天皇の系譜につながる「男系」か母がつながる「女系」か、そして本人が男性か女性かとで、四つ組み合わせがある中で、男尊女卑の思想が埋め込まれた「男系男子」に固執するのが養子案だ。推進する議員たちは、右派イデオロギーの強い支持団体の影響を受けるあまり、国民の総意を無視していないか。 「日本国民統合の象徴」である天皇やそれを支える制度に、男女不平等が投影されるのは不適切である。 養子を「15歳以上の未婚男子」としたのも疑問だ。皇室に入れば、享受してきた基本的人権が大きく制限される。男系男子の束縛の中で、ひたすら男子が生まれることを期待される中で配偶者を選ぶ重圧もある。さらに、いったん養子になったら、その意思で皇族の身分を離れられないという。本人が事情を十分理解した上で意思決定する必要があり、民法上の成年年齢にさえ達しない15歳では過酷だ。 現代の皇室は、憲法下で培われてきた社会の価値観を尊重しながら、象徴天皇制の中での務めを積み重ねてきた。その連続性の中に突然、養子が入ってきて国民の理解を得られるだろうか。 養子が禁じられてきたのは、養子選びに時の政権などの恣意(しい)が及ぶ危険もあるからだ。時に、三笠宮寛仁(ともひと)親王妃家の当主・信子さまを妹に持つ麻生太郎自民党副総裁が議論を主導し、今国会での改正を急ぐ考えを示している。こうした動きを危ぶむ声が皇室制度に詳しい有識者の間からも出てきた。「李下(りか)に冠を正さず」の姿勢を求めたい。 ヨーロッパに目を移せば、男性女性の区別なく、長子優先に改めた国が少なくない。オランダ、ベルギー、スウェーデンでは女性が皇太子になっている。日本でも、女性・女系天皇への道を閉ざさず、広く国民の総意を醸成することが必要だ。皇室典範改正案の骨子、正副議長が「了承」 要綱は25日に再協議「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
【社説】皇室典範改正、国民の総意かなうよう 男尊女卑は禍根を残す:朝日新聞
衆参両院の正副議長は、政府による皇室典範改正案の骨子を了承した。①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ②皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を可能にし、旧宮家の男系男子を対象にする――が柱だ。細部を…
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