【社説】皇族数の確保策、「総意」の名に値するか 拙速な立法避けよ2026年6月11日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●皇族数の確保に向け、衆参両院の正副議長が「立法府の総意」を首相に伝えた●全13党派中6党派が慎重・反対の立場で、総意と言えるのか疑わしい●女性・女系天皇への道を閉じては、「国民の総意」にはならないのではないか 皇族数の確保策をめぐり、衆参両院の正副議長が「立法府の総意」をまとめ、高市早苗首相に伝えた。 ①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ②皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を可能にし、旧11宮家の男系男子を対象にする――の両案を「了」とした。政府は、これを踏まえて皇室典範改正案などを策定し、今国会での成立をめざす。 ただ、「総意」には全13党派中、参院野党第1党の立憲民主党や共産党、れいわ新選組など6党派が慎重・反対の立場を示した。立憲は①を「了」としたが、②は「理解不能」として賛否を示さなかった。天皇退位特例法をめぐる9年前の「総意」が1党を除く9党派の了承を得たのとは格段の違いがある。 これで「総意」と言えるのか極めて疑わしく、今国会中の成立にこだわる拙速な立法化は避けてもらいたい。最低限、将来の皇位継承のあり方を縛る要素は一切排除すると確認することが必要だ。 真の総意が形成されないのは、皇位継承をめぐる「男系男子への固執」が正当なのかをきちんと議論しないまま、養子を認めたからだ。 その問題性を浮かび上がらせたのが、森英介衆院議長の8日の発言だ。養子の子について「男の子が生まれれば皇位継承権を持つ」と語った。総意案にはない皇位継承のあり方に踏み込み、野党からは「重大な裏切り」との声も上がった。森議長は「現行法の解釈を述べた」と釈明した。 憲法が定める皇位継承の原則は「世襲」というだけだ。男系男子を重視する論者は「伝統」を強調する。しかし、男系男子を確立し女性を排除した明治期の皇室典範制定の議論を振り返れば、男性尊重の国民感情や女性に参政権がないことなどが重視されていた。伝統自体に「男尊女卑」の考えが埋め込まれていると言っても過言ではない。 社説は、養子案に「国民の幅広い理解を得られるとは言い難い」と疑問を呈してきた。各紙の社説の多くも懐疑的だ。憲法1条は天皇の地位は「日本国民の総意に基づく」とする。養子案は国民の総意にかなうだろうか。世論はむしろ、女性・女系天皇を望む声こそ高まっている。その道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる議論の場を速やかに設けてもらいたい。 政府は法案の骨子案を正副議長に、要綱案を各会派に示すことになっている。今後の議論を見据え、法案が今回の枠組みを逸脱したものになっていないか、国会は主体的に精査することが求められる。皇族数確保策、反対論残したまま「総意」 自民の発言で混乱も「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする