【社説】首都直下地震の基本計画 被害半減へ問われる政府の役割2026年6月21日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●政府が首都直下地震の基本計画を11年ぶりに見直した●想定死者約1万8千人を、2035年度までに「半数以下」に。火災対策として「感震ブレーカー」の普及に期待する●政府は行政の「公助」に加え地域社会などの「共助」、住民の「自助」を呼びかけるが、自らの役割を果たすことが大切だ
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マグニチュード7級の首都直下地震に備える基本計画を政府が11年ぶりに見直した。最大で死者約1万8千人、全壊・焼失約40万棟と想定される被害を、2035年度までに「半数以下」とする。 主な被害が想定される東京圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)には、日本の人口の3割にあたる約3700万人が暮らす。住民の命や生活を守りつつ、首都機能を維持することは国の根幹に関わる課題だ。計画に盛り込んだ対策の実行が問われる。 15年に定めた計画では、被害を「おおむね半減」するとしたが、この10年間で想定される死者数は3割減、建物被害は4割減にとどまった。 被害原因の7割を占めるとされる火災への対策をはじめ、数百万人を見込む帰宅困難者、高層マンションでの長期孤立、上下水道や電力、情報通信といったライフラインの広域にわたる維持など、首都圏特有のリスクへの備えが欠かせない。災害時の情報収集や避難に課題を抱える高齢者や障害者、外国人への支援策の充実も急がれる。 新計画は、行政による「公助」には限界があるとして、「国民、企業、地域、行政が共に立ち向かう」ことを前面に打ち出した。対策の具体的な項目は、これまでの4倍にあたる189項目に及ぶ。家具の固定や食料・飲料水の備蓄、マンションでの防災訓練の実施、在宅避難の促進など、身近な対策の多くに数値目標を示した。 減災は、行政による公助、地域社会や各種保険への加入を通じた共助、世帯ごとが基本の自助がかみあってこそ実現する。ただ、「民」の役割を強調するあまり、「官」の責任を軽んじてはならない。 新計画が急務とする防火対策では、揺れを感知して自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の普及が切り札とされる。設置に電気工事が必要な装置だけでなく、取り付けが容易な簡易タイプも市販されており、現状で2割にとどまる設置率を全世帯に広げることを目指す。そのためには、住民への情報提供に加え、助成制度などの拡充が求められる。 密集する木造住宅や狭い道路、空き家をはじめ老朽化した建物といった火災拡大の要因を減らすには、都市政策をはじめ役所の縦割りを超えた連携が欠かせない。 年内に設立予定の防災庁は、国や自治体の施策を横断的にまとめ、民間との協力を進める司令塔としての役割が期待される。新組織の発足を、政府の防災態勢を見直す機会としなければならない。首都直下地震、死者「半減以上」目標に 火災防ぐ感震ブレーカーとは「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







