方励之氏(中央)と妻が中国から出国する前夜、米国大使館内で家族と写真におさまるリリー氏(左から2人目)=リリー氏の回想録「チャイナハンズ」(西倉一喜訳、草思社刊)から

[PR]

米中関係が最も緊迫したのは、1989年6月からの1年間ではなかったか。天安門事件の黒幕と名指しされた物理学者の方励之氏が妻と北京の米国大使館に保護を求めた。翌年6月に出国するまで夫妻は大使館の敷地内にかくまわれた。 米国大使はジェームズ・リリー氏。中国山東省で生まれ、中央情報局(CIA)の初代北京支局長を務めた。中国の特殊部隊が方氏の狙撃を企てているとの情報をつかんでいたという。 2002年、瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ脱北者が中国当局者に引きずり戻された。ワシントンのシンクタンクでリリー氏に話を聞くと、北朝鮮人の不法滞在に頭を痛める中国側が「殺鶏警猴」(ニワトリを殺して猿を脅す=見せしめにする)の舞台に日本総領事館を選んだとして、そのことに怒り、日本側の弱腰を嘆いた。熱い血が通った人だった。 リリー氏は80年代前半、米…